07
「では始めます」
「いやいやちょっと待て」
ちょ、「始めます」って…。確かに今から始めるんだけどさ、なんていうか、こう…。ムードとかないのかねぇこの子は全く…なんて、俺が女々しく考え過ぎなだけ、か。
シングルベッドが二つ並んだビジネスホテルのツインルーム。今日は一つ汚れるの決定だなとか一人で考えつつ、ニヤニヤしながらベッドに横になっていると、和哉がいきなり俺を押し倒してきた。
腹に当たる和哉の下半身のこの感触はおそらく、和哉も期待で既に勃っているという事だろう。いや勿論、俺もなんだが…。ゴクリ生と唾を飲み、ゆっくり和哉を見上げる。
そして、どちらからともなく互いを引き寄せて口付ける。薄く開かれたその口にするりと舌を差し込むと、相手も舌で応えてくれる。ふと幸せを感じながら、わざと音をたてて煽るように舌を絡ませていく。
「…ん…っ…ん」
「…っ」
やけに部屋に響く厭らしい音に自分自身も煽られながら、段々とその行為も激しくなっていく。
あぁ、もうやばい。そろそろ色々と限界が来ると確信した俺は、ゆっくり和哉を引き離して起き上がった。
「じゅ、準備しないと、な」
「…うん……翔」
「ん?」
「優しくするからね?」
「……………え?」
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