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突然ですが、今日と明日は、家に俺と優の二人きりです。

というのも、結婚記念日という素晴らしいイベントに託けて俺が「夫婦水入らずで行っておいでよ!」などとプレゼントした旅行券にて、今朝から両親が熱海旅行へ旅立ったからであります。


「卓也、こんな素敵なプレゼント、ありがとね」

「じゃあお父さんとお母さんは行ってくるけど、優の事、宜しく頼むな、卓也」

「行ってらっしゃい。優の事は任せといてよ。優もお兄ちゃんがいれば大丈夫だもんな?」

「うん!にぃと二人で頑張るから、お父さんとお母さんも楽しんできてねっ!」


こんなやり取りの最中も俺は、今夜は俺と優の二人っきりか、どどどどうしよう。
一緒に寝たり出来るかな、一緒にお風呂は…無いよな。
などと邪な事ばかり考えていた。ごめんなさい父さん、母さん。


初ボーナスで両親にあげたこの旅行券は、俺が優と二人っきりになりたいが為に選んだ訳ではなくただ純粋に、二人が夫婦水入らずで旅行でも楽しめたら、と思って選んだものだ。(本当です信じて下さい)

断じて!断じて俺が優と二人っきりで一夜を明かしたいあわよくば…などど考えている訳ではない。
いや、そんな奇跡が起きたら、という妄想なら毎日考えているが。


「にぃ、お父さんとお母さん行っちゃったね」

「…ん、あぁ、そうだな。優はやっぱり寂しいか?」

「んーん!にぃがいるから平気!」

「そうかそうかー今日はお兄ちゃんにいっぱい甘えていいんだぞ!」

「もー僕もうそんな歳じゃないよ!」


ペチ、と腰を叩かれ、お返しに優の髪をわしゃわしゃと撫でる。
こんな仲睦まじいやり取りも、あとどれくらいしてくれるんだろう。

俺は、優が望むその時まで、優の自慢のお兄ちゃんで居続けるよ。だから、もう少しだけ。
その無邪気な笑顔を俺だけに向けていて欲しい。

そして今夜は兄弟水入らずで、出来ればあんな事やこんな事をしたい。
あ、本音が出ちゃった。

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