03
「翔、良かったねっ!」
ベッドにちょこんと座り足をバタバタさせながら、嬉しそうに話し掛けてくる和哉。
「お、おう…」
「まぁだ緊張してるの?」
「お、おう…」
「んー、もうっ」
チュ、と和哉が俺の頬にキスを落とす。和哉からキスしてくれるのは基本的に珍しい。驚くと同時に、何かこう…キュン、ときた。
「もっと、して?」
「もう、翔ってば…」
ねだるように見上げると、和哉はしょうがないな、と言いながらも今度は俺の唇を塞ぐ。
「…ん」
…触れるだけのキス。俺は自分からもう一度和哉の唇を塞ぎ、舌を入れて口内を掻き乱す。
「んっ…ん…ぁ…翔…」
「…っ…んっ」
チュ、チュ、と部屋に音が響く。これ位にしないとさすがにまずい…そう思っていた時。
「かずやー?」
下から声が聞こえてきた。
俺は一気に肝が冷え、和哉も俺からバッと離れると部屋のドアを開けてお母さんの問い掛けに答える。
「な、なーにー?」
「お母さん、ちょっと買い物に行ってくるからねー?」
「はいはーい!気をつけて行ってらっしゃーい!」
和哉がそう行って部屋のドアを閉めてそう時間もかからない内に、玄関の鍵が締められる音がした。
「母さん、買い物だって」
「ちょっと焦ったな…」
「うん。流石にね?あは…」
「今日は健全にゲームでもして帰っかな!うん、そうしよ…」
俺がそう言って和哉の部屋のプレステに手を掛けようとした時、和哉がそれを遮るように俺をベッドに押し倒してきた。
「ちょ、和哉?」
「…ね…、何か僕、ムラムラしてきちゃった」
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