「ねぇねぇ翔?」
ふと、和哉が俺の服の裾を引っ張ってきた。
「ん?」
何だ何だ、可愛いな…とか考えながら、ちらりと和哉の方を見て答える。
「僕達って、恋人だよね?」
「お、おう。何だよ急に」
「近い内に、僕の家に来てくれる?」
「ん、行く行く!」
なんだ、これは。お誘いって事なのか…?この前学校で仕掛けようとしたら見事に拒否られたからな…、遂に和哉とそういう事を出来る日が…
「僕の両親に紹介するから」
「ちょおっと待て!」
「え、何?」
「何、じゃない」
「だって紹介しないと!初めての恋人だもん」
「しかも、男、だろ?」
「?…何言ってんの?そりゃあ翔は男でしょ?」
「いやいやいやいやそうじゃなくてだな!」
「何だよー。親に黙って交際なんて、翔君ダメだよ?そんなの」
「お、おぉ…」
…ん?俺はどうしたら良いんだ?何が正解なんだ…?まさか和哉がそんな事言い出すなんて思いもしなかった。
「ん〜……。わ、分かったよ、行ってやろうじゃないか!」
和哉が満足そうにニコニコしていた。
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