01



ある日俺は授業中、自分の前の席の奴に手紙を書いていた。

『次の授業サボんね?』

それだけ書いたノートの切れ端を適当に折りたたみ、熱心に黒板を写す前の席の奴の机の上に上手いこと放り投げる。
紙が投げ込まれた事に気付いたそいつは、先生に見付からないようにこっそりそれを広げ読んでいる。

どんな返事が来るかなー…、もしかしたら一緒にサボってくれっかな?そしたら屋上で一緒に昼寝とかしてぇなー、とか色々考えてウキウキする。

…が、5分経っても前の席から手紙が回ってくる事はない。
…アレ?手紙読んでたよな?あの内容、普通シカトはないよな?



…と、いう訳で俺は一方的に返事が来るまで手紙を送り続ける事にした。

『おーい。か ず や く ん (ハート)』

前の席で和哉が肩をわなわな震わせているのが分かる。…怒ってる?んな訳ないか。

『シカトすんな(ハート)』

…あ、この手紙には完全シカトだ。んだよもう。寂しいなぁおい。

『す き (ハート)』

お、読んでる読んでる。よく見ると、和哉の耳が少し赤く染まっていた。…照れてんのか。かーわいい。

だから俺は、後ろから和哉の背中をコツンとグーで押した。返事書けよ、の意で。

だがそれから何分経っても返事が来る様子は無く、俺は仕方なく諦めてこの授業は寝を決めこもうとしたが、頭の中では色々と考えが巡ってしまう。

(…はぁ。確かに、確かに!
和哉は恐ろしく真面目だし、授業中に手紙なんか書いた事も無いんだろうし、ましてや俺からの手紙の内容がサボリの誘いと愛の言葉だし、だからどうしたら良いのか分かんないんだろうし?)

などと自分に都合良く色々言い訳を考えたが、最終的には授業が終わったらまた和哉に
「授業中に手紙なんか書いてー駄目でしょ!」
などと怒られるのだろう、と覚悟を決める事にした。

机に両手を乗せてその中に顔を埋め、よし寝よう!と目を閉じたその瞬間、頭の上にルーズリーフの紙が半分に折りたたまれて落ちてきた。




『 翔へ

まず、授業中に手紙を書くなんて言語道断です。
後で言いたい事は沢山あるけども、とりあえず、




     僕も好きです。』




…俺は顔がにやけるのを止められなかった。





---fin---




あ と が き

授業中になにげなく回したおてがみにスポットをあててみました。
和哉君萌える!あんなんやられたらイチコロでしょうなあ(笑)休み時間に照れながら説教をこく和哉君が容易に想像できます。


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→「俺と親友と」まだまだつづきます★

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