俺は結局、この腕の中で寝ている和哉をどうしたら良いのか分からずに、固まっていた。
しばらくすると和哉がムクッと起きだして、俺に何の言葉を掛ける訳でもなくふらふらと部屋から出て行ってしまった。
―俺は大変な過ちを侵したのではなかろうか。
どんどん焦ってきた俺は、一気に酔いが醒めむしろ冷汗が出てきた。
このまま和哉と気まずくなって、もう親友ではいられなくなるのだろうか。
酔っていたとはいえ友達同士でキス、しちゃうなんて。
和哉は怒ってんのかな、俺に失望…いや、ただ引いてんのかも知れない。とりあえず、嫌われてしまったのは確実だろうな。
そんな事を延々と考え、どんどん嫌な方へ嫌な方へと考えを巡らす。
溜息をはぁ、とついたその瞬間、部屋のドアが開き和哉が入って来た。
「和哉…」
「…」
黙ったまま、和哉が俺の前で正座して座る。
俺もつられて胡座をかいていたのを止め、正座になる。
「…せっ…」
「せ?」
「責任を、取って下さい、翔。」
「…え?」
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