07
遂に来てしまった。和哉の家に泊まりに行く日が。
いつもより学校が終わるのが遅く感じたが、それは今日俺の嫌いな教科の授業が自習にならなかったせいだと思いたい。
昼休み、中庭を一人でうろついている時に美紀ちゃんを見付けた。
が、話し掛けるのも話し掛けられるのも億劫だったので、彼女から隠れるように中庭を去った。
わざわざ避けなくても良かっただろうに、俺は小心者になったのかも知れない。
放課後、和哉を含むクラスの奴等5、6人でだべっていると、
「なぁ〜なんかみんな、女とか欲しくねぇの?合コンやろーぜ!」
「いいねぇ〜!つかお前、合コンセッティング出来んのかよ?」
「はは…そこなんだよね〜」
「ちょ、しっかりしろよ!なあ、翔は?他校の女子とか知り合い居ねぇの?」
「あ?」
俺に話が回ってきた…。
今の俺は、こういう話をなるべく避けたいんだよ。空気読め。
「翔モテそうなのに彼女いねーのな!でも女友達とか多そうじゃん、そこらへんどうよ?」
「つか、桜田もじゃね?」
桜田。話題が和哉に移った…。
和哉は、どうなんだろう。
男同士って案外こういう話しないから、友達の女事情とか殆ど知らない。
「僕?僕は、女性にあんま面識ないし…」
ふ、ふーん…。って、何安心してんだ、俺は。
「あー、そんな感じするわ!な、翔?翔はどうなんだよ」
「俺は〜、パス。つか、俺もあんま女に興味ねぇし女友達とかいねぇんだよ」
「まじかー!なに、女に興味ねぇのかよ!」
「もしかしてあそこで見てるあの可愛コちゃんが、彼女だったり?」
「1年の子か?可愛いじゃーん!翔、早く行ってやれよ!」
なんだか、悪寒がした。
それが何故悪寒なのかは、やっぱり今はまだ考えたくない。
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