04
放課後、いつもなら和哉と一緒に帰るのだが、今日は用事があると言って先に帰ってもらった。
「何かあるの?翔」
「あ?あ〜…まぁ、な。だから、今日は先帰ってて」
「翔よく遅刻するから、先生から呼び出しとかくらったんじゃないの?僕があれほど遅刻しちゃ駄目って言ってんのにさ…だから翔は」
「お前は母ちゃんか!つかそんなんじゃねぇし、大丈夫だから、先帰ってろよもう」
「…じゃあ、彼女とか?」
「えっ」
「だってなんか変だもん、翔。こんな必死に僕を先に帰らせようとするなんてさあ〜?彼女でも出来たんでしょ?何で秘密にすんのさあ〜?」
「ばっ…ちげーって言ってんだろ!」
「ふーん…。分かったよ。翔がそんなに頑なに拒否するならもう聞かない。でも、何かあるなら僕にもちゃんと言ってね!じゃ、ばいばい!」
「お、おう…」
和哉はそう言って、すたすたと帰って行った。
ごちゃごちゃ言ってた割には、一人で勝手に納得して勝手に帰りやがった。言う程俺の事気にしちゃいねぇだろ、その態度は。
なんだかなぁ…。胸にチクチク刺さるこの感じ。上手く説明出来ないが、もやもやしている事だけは確かだ。…何か俺、女々しいな。
何故。
何故今日は和哉と一緒に帰らないかというと、理由は2つある。
1つ目は…和哉と2人になるのがちょっと気まずいからだ。ま、ぶっちゃけこれはあまり関係ない。むしろ2つ目の理由の方が…アレなのだ。
2つ目の理由は…今日の朝、俺の靴箱から発見された1枚の手紙が原因である。
黒川翔さま
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放課後、屋上で待ってます。
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たったこれだけの文章だが、可愛い便箋に丸文字で書かれたその手紙はおそらく告白の手紙だろう。
差出人の名前が無いのが怖いが、こんな手紙を貰ってシカトする程、俺は野暮じゃない。
文章が短い事と差出人が書かれていない事が引っ掛かるのはまぁ…そうなんだけど、まぁもしイタズラだったとしてもそれはそれで良いし、もし本当の告白とかだったら…俺も誠意ある対応をしたい。
そんな訳で俺は和哉と教室で別れ、和哉が帰ったのを確認してから屋上まで足を運んだ。
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