03




結局、抜いてしまった。

親友の和哉で抜くなんて、俺はどうかしてる。こんなの初めてだ。
俺は明日、どんな顔して和哉を見れば良いのだろうか。




――次の日。


「おはよー!翔っ!」

学校に着くと、下駄箱の所で俺を見付けたらしく和哉がこちらに駆け寄って来て、いつものように挨拶をしてきた。


「あー、おおおおはよう、ございマス」


不自然過ぎる程、動揺してしまった。しかもおはようございます、なんてちゃんとした挨拶一度も言った事ないのに、変な奴だと思われたかな。…ま、和哉だから分からないか。

俺はただ、昨晩和哉をオカズにしてしまった罪悪感で、胸がいっぱいだった。


「えっ、何吃(ども)っちゃってんの?」

「やーや気にすんなって!ななな何でもないから。早く教室行こうぜ!」

「う、うん…。てか翔、具合でも悪い?保健室行く?ほら、なんか顔も赤くない?熱があったら大変だ!行こ!行こ?」

「だーっあもう!何でもねーから!お前は変に気にしすぎだ。大丈夫」

「えぇ〜でもさ、保健委員の僕としてはだよ、具合が悪い人を放っては置けないっていうかさぁ」

「だーっあああっから!」

「う〜。分かったよ。でも、具合が悪くなったりとかしたら絶対に」

「お前に言うよ。そんで保健室行く。これでいんだろ?つか、顔近い」

「え〜ちょ、痛い痛い痛い!」


和哉が俺と話す度に近くに寄ってきて、挙句の果てには目の前に顔があったもんだから、俺はついつい和哉の顔を手で押しのけてしまった。

今までこの位の距離で話すなんてのも別に普通だったのに、何で急に意識しちゃってるんだろう。

あれ、意識?俺は和哉に対して意識しちゃってるのか?

よく、分からない。


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