03



チュ、チュ、チュと幾度か唇を合わしては離し、合わしては離しをゆっくりと繰り返して時間を掛けて愛を確かめ合う。

その内、再び優の顔が下りてきたかと思えば、ふいに俺の首元に顔を埋めてきた。優の小さな舌が、性的な意図を思わせる動きで首筋を這っていく。

「…あっ…んんっ」

思わず気持ちの悪い声が出てしまってヒヤリとした。いくら織姫様に成り切っていたとはいえ、こんな女みたいな喘ぎ声なんて出して優に幻滅されてないだろうか。お兄ちゃんはそれだけが心配です。

でも、そんな心配は必要無かったのか、

「にぃ……その声やばい」

なんて鼻息荒く囁かれ、俺なんかの喘ぎ声で優が欲情してくれていることに、ひどく興奮して目眩がした。

「にぃ……可愛い声、もっと聞かせて?」

そう耳元で囁いた優は、そのまま耳朶をはむりと口に含みいやらしく舐め上げていく。耳にダイレクトにくちゅくちゅという水音が響いてやばい。何がやばいかって、俺の下の息子が涙を流してふるふると奮えているのが感覚で分かってしまう程にやばい。

「…やっ、…ゆ、優……」
「んっ、……なぁに?」

耳穴にチュ、とキスを落としそのままの距離で低く問われる。優のまだ声変わりしていない幼くてあどけなさの残る声色が、少し低くそして色っぽく様(さま)を変えて俺の頭に響く。
なんて良い声をしてるんだろう、優は。余すところなく全てが完全に俺のストライクゾーン過ぎて、優の全てが愛おしくて。

もっともっと優と愛を確かめ合いたいけど、これ以上続けていたら歯止めが利かなくなってしまいそうだ。……それに、もうそろそろ両親も仕事から帰って来る時間だし。

「……ちょ、もうこれ以上はやばい…っ…優、」
「うん?」

優は俺の必死の訴えを聞いてか聞かずか、しれっと再びキスの嵐を落としてくる。焦りやら興奮やらで頭の中がパニック最高潮に達した俺は、思考が一周回ってストップした。
――もう、優に全てを委ねよう。

「っ…ん、…んん」
「…にぃ…っ、」

暫く濃厚なそれが続いた後、優がたどたどしく俺の下半身に手を伸ばしかけたその瞬間、ガチャリという無機物的な音と共に、「ただいまー」と母さんの聞き慣れた声が一階から聞こえてきた。

「…!」
「!!!」

慌てて身体を離した俺達は、急いで乱れた息と髪の毛を直してベッドに座り直す。

「…母さん、帰ってきちゃったな」
「うん。ざんねん」

犬耳が垂れたようにしょげる優を押し倒してしまいたい衝動を必死で押さえ込みながら、頭を優しく撫でてやる。

「にぃ…、また続きは今度ね?」

気持ちよさそうに目を閉じて頭を撫でられたあと、そう言ってふわりと微笑む優が、やっぱり可愛くて、そしてかっこよかった。

優の言葉にひとつ頷いて、ぽんっと一緒にベッドから降りる。ベッドに付いた薄い皺がさっきの所業を鮮明に思い出させて、ちょっとばかり恥ずかしさと股間の膨らみが増してしまうのを堪えながら、優の背中を押す。

「ほら、先に行って母さんを迎えてやっといで?」
「うん!」

たったったと階段を駆け降りる優の背中をニンマリ眺めながら、あぁ、この下半身はどうしたもんかなと肩を落とす俺なのであった。





---fin---




あ と が き

七夕というキーワードで書かせていただいたはずなのに、あんまり関係してないという不思議…すみません。結局にぃと優くんがラブラブいちゃいちゃしてるだけで終わってしまいました(*´Д`)

こちらはリクエストいただいたものになります。ハル様、リクエストありがとうございました!



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→まだ続きます

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