01

携帯電話から、起床を告げるアラームが鳴り響く。
布団がもぞもぞと動き、中から手が伸びて騒がしい携帯を掴む。
開いた画面に映された時刻は、ちょうど正午。
ぼんやりと寝ぼけ眼で見ていたが、寝起きのゆるやかな頭の回転がやっと一つの事実に辿り着いた。

「ね、寝坊した…!」

侑果は飛び起きると、急いでベッドから降りる。そのまま近くに干してあったバスタオルを手に、浴室へと飛び込んだ。

ぎしり、と玄関のドアが軋んだ音が響いたことを、この時侑果は知る由もなかった。




――――――


悠と連絡を取りながら支度が整え、鞄を肩に掛けた侑果は玄関のドアを開ける――――そこには澄んだ青空が広がっていた。
侑果は玄関のドアを静かに閉める。リビングの時計を見やれば、時刻は約束の時間に近付いていた。

「うん、見間違いだ」

そう呟いて、侑果はもう一度ドアの取っ手を回して押す。
恐る恐るゆっくり開けると、隙間から吹き抜けた風が、侑果の頬を撫で、髪を舞い上がらせていく。
開いたドアの外は、やはり澄み切った青空と陽の光を浴びて輝く水面――それも、大海原が広がっていた。
まるで、空の上にでも住んでいるかのようで、侑果は愕然とする。

「……な、何これ…」

譫言のような小さな声に返って来る言葉はなく、代わりに強い風が吹き込んでくる。
すると、急に意識が遠のくような感覚に襲われ、風に煽られたドアが勢いよく開いた。
混濁していく意識の中、掴んでいた取っ手から離れ、ぐらりと身体が前に倒れかかる。
そのまま、侑果は海へと投げ出された。




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