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Origin.


 骨の髄まで



「俺も名前が良い。」

「理由を述べたまえと言ったハズだよ。」

「それは……」



言葉に詰まる。

どうしてか?

理由なんて最初から決まっている。



「俺も名前で呼ばれたいからだ。
俺だけ何で呼んでくれない?」

「理由になっていないな。
どうしてだ?」

「――――ああっ!もう!
ナマエが気になるからだよ!
好きだからだ!
言わせんな!」

「ふむ……、やっと言ったか。
ならば私も言おうではないか。」



さっきとは打って変わって嬉しそうな顔をしている。

その顔がどんどんアップになって鼻の頭がくっつく。

息が掛かる程に顔が近い。

ヤバい、クラクラしてくる。



「私が君を名前で呼ばなかったのは、君が本当の事を言わなかったからだ。」

「本当の事?」

「そう。
でも今言ったね?
私を好きだと。」

「あっ、そ……それは、その……」

「ただの勢いか?」

「勢いだけじゃない!
本心、だ……」

「……うん。
ありがとう、ミロ。」



頬を染めて笑う。

今まで見たことのない程の笑顔だ。

可愛い。

これ以上ないくらい可愛い。



「って、名前…!」

「嫌か?」

「いや、その方が良い。
ナマエ、」

「何だ?」

「もっと俺の名前呼んで?」

「ミロ、大好きだ。
もっと早く気付いてくれるかと思っていたんだが…」

「………もしかして俺だけ名前で呼ばなかったのは…」

「気を引こうと思ったからだ。
それに毎回毎回好きだと言っていたのに全然気付かないものだから、私はミロは女に興味がないのかと焦ったぞ?」

「それ、聖衣に対してじゃなかったのか…」

「もちろんそれもあるが。
あれだけ露骨なのに何故気付かない?」

「いや…」



だってナマエは変人で有名だし。

まさかそんなにストレートにアピールしてくるなんて思わないだろう?



「まさか私が誰に対してもあんなベタベタしていたと思っていたのか?
不本意だ。
私はそんなに恥知らずではない。」

「うん。
それは俺も嫌。
ね、俺だけなんだろう?」

「ああ。
ミロだけ。
ミロが好きだよ。」

「うん。
俺もナマエが好き。
大好き。
愛してる。」



引っ付いていた鼻が離れ、今度は唇が触れる。

短い啄むようなキスを繰り返すとナマエが首元へ顔を埋めた。



「なぁ、ミロ。」

「何だ?」

「骨の髄まで愛してる。」

「ナマエが言うと変態くさい。」

「ふふっ、しっかり骨抜きにしてやろう。
他では物足りなくなるくらいに。」

「それはこっちのセリフだ。」



絡んだ指が熱を帯びてきた。

また一つキスをすれば溶けるように身体が熱くなる。


上がる息の視界の端に黄金に輝く聖衣が見えた。




End.(next.お礼コメ)



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