集まったメンバーを見て、三上が神妙な声を出す。

「緑川くんに佐鳥くん、米屋くんに当真先輩、そして国近先輩……」
「ね、馬鹿ばっかりでしょ?」

俺がその5人を見て鼻で笑うと、三上が戸惑った声を漏らす。
肯定しづらいけどちょっとはそう思っているようだ。
言葉を濁す三上とは対照的に烏丸は力強く頷いた。

「実力のある馬鹿って感じですね」
「おいそこ聞こえてるぞー」

烏丸の褒めてるんだか貶しているんだか分からない発言に、当真が苦笑いを浮かべている。
俺はと言えば、俺の姿を見つけた国近に捕まり首をがくがくと揺すぶられていた。
直近一週間のうちに何度首を揺すぶられただろう。

「なんでオペレーターじゃないの!?」
「は?俺がオペレーターやるなんて一言も言ってないじゃん」
「私との対決なんだから普通オペレーター対決でしょ!なんで空気読まないのぉ!?」
「まぁそんな気はしたけど言われなかったことにわざわざ従うのは癪だった。あと怒る国近がただ見たかった」
「もー!かわいくない!」
「というかなんだ。オペレーターがみかみかでは不服か」
「そんなこと言ってないもん!!!むしろどうやってみかみかをくどいたの!?ずるい!!!」
「そんなもん風間さんのお力添えで」
「ずるい!汚い!」

国近に罵倒されても痛くもかゆくもない。
俺があははと笑うと、国近はより怒った。全く、国近といい小南といい、からかいがいのある女子だな。
頭の後ろで手を組んだ米屋が首を絞められている俺に話しかけてくる。

「ていうか空閑がいるんすね。辻はいると思ってましたけど、あとは奈良坂と秀次だと思ってました」
「俺は国近と違ってそんな安易な奴ではない」
「うるさいばかぁ!」

国近はそういうつもりで心構えをしてきたのだろう。憤慨している。
いいねぇこのフラグをぼきっと折ってやった感じ。
俺がにやにやと笑えば、国近は鼻息荒く宣言した。

「いいもん!絶対負けないからぁ!」
「まぁせいぜい頑張れ」

適当に応援すると、むきーと国近はまた怒って、佐鳥に宥められていた。
いつまでもここで漫才をしているわけにはいかないので、俺達は待機ルームに移動する。

「あのチームは、作戦は一体誰が考えるんだ?」
「ある意味トリッキーかもしれませんね」
「ふむ…俺はスナイパーの二人とはやりあったことが無いから全然想像できないぞ」
「自己主張強めな人間しかいないけど統率が図れるのかなぁ」
「誰が話をまとめるんですかね?」
「作戦会議の風景が見てみたいな」

まぁ見たところで中身のある発言をしあっているのかわからないが。
いや逆に物事にとらわれないから自由な発想がでる可能性も…?
めっちゃプラスに考えればあり得ない話ではないが、だったらもう奴らはさっさとA級1位か個人ランク1位になっているだろう。
三上の言う通りトリッキーかもしれない動きを想像するのは疲れるのでやめる。そんなもん、力でねじ伏せればオッケー。

「じゃあまぁ俺らの作戦は前に言った通りで。よろしく」
「はい」
「了解です」
「リョーカイです」
「よろしくお願いします」

頷いたのは、辻・烏丸・空閑、そして三上。今回俺が声をかけたメンバーだ。
自分で選んでおいて何だが、すごい安定感だ。ナイスチョイス。
こりゃ100%どう転んでも負けないな。

国近の泣き顔をどう笑ってやろうかと楽しみにしながら、俺はトリガーを起動した。






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