屋上で牛乳パンをほじって食べながら俺はぶつぶつと文句を言うようにしゃべる。

「ってことでさぁ、よく分からんけど三日後に国近の選抜メンバーと戦うことになった」
「…大変だな」
「めんどくさいなぁ……国近って負けると時々意味わかんない方向に走っていくんだよなぁ」

俺の愚痴りに同情の目を向ける穂刈。
北添が、俺からしたらそれ爆弾?爆弾なの?ってぐらいでかいおにぎりを食べながら首を傾げる。

「ていうかそれって結城隊と太刀川隊でぶつかるってこと?」
「面白そうじゃないか、俺は見に行くぞ」

村上が珍しく乗り気でそういったので、俺は首を横に振る。
そんな単純な話じゃないのだ。むしろそんな話だったら俺は喜んでたいちょーに報告していただろう。たいちょーに任せておけば100%勝てるからだ。まぁたいちょーは嫌がるだろうけど。でも、違う。残念なことに、違う。

「いや自分の隊のメンバーは誘ったらだめだから。たいちょーも太刀川さんもいないよ」
「…?え、じゃあどうすんの」
「ドリームマッチ形式だから、適当に選んでいいんだってさ」
「え!?」
「じゃあ選ぶのか、俺らから…!?」

珍しくカゲが驚いた顔をしていて、俺はそれにちょっと笑う。
食べるのがはやいので、カゲはもう食べ終わって寝る体制に入っていた。俺の膝を枕にして。
重いからやめてほしいんだけど、嫌がるとその後ずっと不機嫌になるからさぁ…。お膝で寝たいなんて可愛い奴だな。

「俺は選ばないよ。国近は知らんけど」
「そこはえらぼーぜーくぐい」
「やだ」
「あー?なんでだよ」

とーまが俺の首に腕を回して選べと言うので、俺はそれを一蹴した。それは絶対ない。
カゲが不満そうに何故かと言うので俺は殴られる前に理由を口にしておく。

「18歳は、国近に癖を見抜かれてるから選ばない」
「わりとちゃんと考えてるんだな」
「というか、俺もう知ってるから」

俺の首に腕を回すとーまをジト目で見る。こいつどの口で選べとか言ってんだよ。

「とーま、国近に誘われたろ」
「はぁ!?」
「おっと……」

カゲが勢いよく上体を起こすから俺は慌てて避けた。危ない、ぶつかるところだった。
村上達も驚いた顔でとーまを見ている。
当の本人は、俺がすでに知っていると知らなかったらしく、あちゃーと頭へ手をあてていた。

はやくもスナイパー1位のとーまを国近にとられた。まぁ選ぶ気はなかったけど。
そろそろ俺もメンバー集めを考えないといけないなぁと思いながら、カゲに首を絞められているとーまを生ぬるい目で見守った。








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