佐鳥がひょぁあと意味の分からない声を漏らした。
米屋は思わず吹き出して笑う。

『ごめんなさい外した!』
『佐鳥のバカ!』
『佐鳥先輩ちゃんと当ててくださいよ!』
『ごめんなさいぃいいいい』

国近と緑川の言葉に、佐鳥が土下座する勢いで謝っている。
その姿が容易に描けて、米谷はさらに笑った。
当真は落とされたので、スナイパーは佐鳥だけだ。
このままくぐいを削れないときつい。何が何でもとりたいところだなと、米屋は弧月を片手に周囲を見回す。しかし気配はない。

「京介はどこ行きました?」
『バックワーム起動してるみたい』
「あちゃー、仕方ない、緑川のところ行きます」
『うん』

辻も緑川の方に向かったと聞いていたので、米屋はひとまずそちらの加勢に向かうことにした。
空閑は防げても、辻まできたら流石に凌ぐのは厳しいだろう。

『佐鳥も一回、緑川の支援ができる狙撃ポイントに移動して。とりあえず一人減らそ』
『佐鳥、了解』

米屋は、やばい展開になってきたなぁと思いつつ、気持ちが高揚してくるのを感じた。




* * *




緑川は電柱の上で二人を指さして抗議する。

「ちょっとちょっと!2対1とか卑怯だから!」
「ヒキョウではないな。これはチーム戦だろ?」
「空閑の言う通りだ」

首を傾げる空閑と、それに同意する辻。
突如現れた辻により、空閑との一騎打ちを邪魔されてしまった。
チーム戦であることは承知しているが、折角のチャンスを邪魔されては文句の一つもいいたくなる。
バトルもそこそこに、緑川は地団太を踏む。

「俺の気持ちはもう遊真先輩との対戦なんだけど!?」
「気持ちは切り替えていこう」
「辻先輩、良いこと言うね」
「何で意外に息ぴったりなのさ!」

黒と白のコントラストと、意外にぴったりな息なのがさらにむかつく。
あの二人って別に接点ないよね!?と緑川が頭をわしわしとかきむしって悔しがっても、二人は全く表情を変えない。

「こちらもそろそろ動くか、空閑」
「了解デス、辻先輩」
「くっそぉ…もう絶対二人ともベイルアウトさせるから!」

二人がそれぞれ武器を構えたのを見て、緑川も渋々スコーピオンを構えた。




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