ヒワちゃんを忍田さんに預けて東と共に行方不明の子供を探す。
目下不安なのはあの後かつてなく速い動きで消えた加古ちゃんと二宮くんの行方だ。

「やばい、二宮くん達より先に鴇崎くんを確保しないといろいろな意味でまずい気がする」
「いや…流石に……二人とも常識は持ち合わせてると思うぞ?」
「本当にそう言い切れる?鴇崎くんだよ?」
「……」
「……」
「……探すか」
「そうだね」

真面目でクールだと何するか本当にわからないからね。
俺はサイドエフェクトで鴇崎くんの小さいころを知っているけれどあまりにも天使過ぎる。
あれはまずい、何人か足を踏み外してもおかしくない。
俺は端末をいじる。
捕獲情報が随時送られてきており、思ったよりも順調だ。

「どれくらい見つかってる?」
「結構捕獲されてるみたいだけど、ほぼA級がみつかってないみたいだね」
「厄介だな…この後シフト調節も考えないといけない」
「そうだね」

そう、無事な人間が少ないからシフトとチームを組みなおさないといけないのだ。
防衛任務は待ってくれないので、課題は山積みだ。
本当は俺がトリガーの点検をするのがいいのだろうけれど、鴇崎くんのこともあるし、忍田さんの子供が怯えない顔をしているという謎の太鼓判により捕獲にかりだされている。
まぁいいけど。

「ね、あそこ」

東と子供を探して歩いていると、休憩室の観葉植物の隣に子供が座っているのが見えた。
俺が指させば、東も嗚呼と誰か直ぐに気が付いたようだ。
ストレートさらっさらヘアは間違いない。
俺は子供に近づいて声をかける。

「こんばんは」
「………」
「奈良坂透くん」

名前を呼べば子供は俺をぼんやり見上げた。
じっとこちらをうかがうのでにこっと笑うと、奈良坂くんは静かに俺の傍にやってきた。
俺はそれを抱き上げて、顔をみる。

「お怪我はない?怖いことはなかった?」

そう問いかけると奈良坂くんは黙ったままこくりと頷いた。
それに満足して抱っこをして東を見上げる。

「じゃあ行こうか。……東?」
「いや、うん。悪くないなと思ってるだけ」
「へ?」

ぽかんとしていた東ははっとして頭の後ろに手を当てて曖昧に笑った。
何が悪くないのかわからないが、気にするなと言うので俺は頷いておいた。
腕の中の奈良坂くんが俺をぼんやり見上げている。
それににこっと笑いかける。

「奈良坂くん子供のころから美人だったんだね」
「那須にそっくりだな」
「ふふっ確かに。奈良坂くんかわいいー、やばいね、非常時なのについほっこりしちゃう」

子供ってだけでこんなに癒されるなんて。男だけど母性本能とかに目覚めているんだろうか。
いやでも、癒されない人はいないよね。
どんな子供嫌いでもこれだけ奈良坂くんが可愛ければ好きになると思う。
東を見上げた時に、ふと棚の上が目にはいた。
そこにいた存在と目が合う。

「…ね、あれ」
「……風間だな。どうやって登ったんだ?」
「危ないから降りておいで」

赤い目は完全に風間くんだ。
声をかけるがじっとその棚の上でこちらを見降ろしている。
リスみたいだな。
俺は奈良坂くんを東にあずける。

「東、奈良坂くんをお願い」
「嗚呼」

すると奈良坂くんが声なく俺にすがろうと手を伸ばす。
それにときめいた。

「かわいい。じゃなかった、ごめんね、ちょっとだけ、我慢して」

可愛すぎか。俺は胸がほっこりしながら、奈良坂くんの小さな頭を撫でる。
俺の言葉を理解したのか、奈良坂くんは伸ばしていた手でおとなしく東の腕をつかんだ。
それに安心して笑い、俺は風間くんに向き直る。
ちょっと位置が高いけど、風間くんは性格的に大人しいし、飛び降りてはこないだろう。

「蒼也くんおいで」

そう言って手を伸ばせば、風間くんは俺の手と顔を交互に見てそしてその場からゆっくりと俺に手を伸ばした。
俺の首に手を伸ばして抱き着くので、腰を抱いて支えてやり棚から降ろす。

「うん、良い子」

背中をぽんぽんと撫でると、風間くんはどうやら怖かったらしくほっと息をもらした。
俺は東の腕の中の奈良坂くんと、俺の腕の中の風間くんをみる。
まさか俺、こんなに子供にもてるとは思ってなかった。
忍田さんの太鼓判を信じてもいいかもしれない。

「やばい、俺疲れすぎてるのか可愛い子がたくさんいて胸のときめきがすごい」

嬉しくてへらへら笑うと東は何とも言えないような顔をした。
多分よっぽど変な顔をしているんだろう。

「…この騒動が終わったらつぐみ、お前はちょっと寝ろ」
「うん?」

東が俺の頭を優しく撫でるので、俺が首を傾げると、腕の中で風間くんも真似して首を傾げた。











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