※以降、二宮隊と影浦隊のネタバレ含









「無事だと確認できたのはこれだけか…」

城戸さんの渋い声に俺はそっと荒船の背中に隠れる。
城戸さんこわい。
荒船は俺の頭を撫でるだけで何も言わなかった。
今腕の中には4歳くらいの緑川がいる。
あまりにも活発で脱走しようとするので捕獲中だ。
ちなみに荒船は同じく活発野性児の黒江を抱っこしている。
さっきまで腕の中にいたヒワさんは当真の頭にしがみついている。
高いところが好きとは聞いていたが、軽く傷ついた。俺は、別に、小さくなんて、ないんだからな。

ラウンジに集まったのは無事だった組だ。
上層部や内勤はトリガーをほぼ起動しないので無事で、あと現場職は各隊まばらに無事にだった。
自宅にいた組なども無事のようで、ひとまず連絡が付いた人は無事、連絡がついていない人は小さくなったと判断している。
玉狛にも話をしたところ、あそこもゆーまとレイジさん以外はダメだったみたいだ。幸いなことに全員そろっているらしいけど。

「A級1位と3位が小さくなったのは痛いな」
「しかも行方不明とか…太刀川さん捕まえられる気がしねーわ」
「そこは忍田さんにお願いするのが賢明ってやつだ」

荒船と当真の会話に頷く。
そう、まさかの太刀川隊、風間隊が全滅で、全員小さくなってしまった。
今此処にいるのは、絶対こういうやつに引っかからなさそうな定番の東さんとか、冬島さんとか二宮さん。残念な事に諏訪さんは大学にいたから無事らしい、ああ、残念だ。
あとは荒船と当真と…あ、わんちゃんはそもそも寝坊で遅刻してるから無事ってやつだ。それ以外の18歳は全滅。その他も嵐山さんとか来馬さんとか各隊ちょこちょこ無事で、たいちょーと、俺と…。あ、兄に連絡するの忘れていた。
俺はスマホを取り出して兄に電話をかけながらみんなの話を聞く。

「城戸さん、C級は大丈夫みたいです。トリガーが一番オーソドックスだったから何も改修かけてなかったのが幸いですね」
「そうか」
「無事なもんが少なすぎる!」

たいちょーの報告に鬼怒田さんはぷんすか怒っている。
確かに、無事な人少なすぎ。
もし解決が長引くなら防衛任務のシフトがやばいことになりそうだ。

「誰だ!トリガーのメンテナンスをしたのは!」

鬼怒田さんが周りのエンジニアを睨む。
それに周囲がびくっとする。
雷が落ちそう。
怯えるエンジニアにたいちょーが一歩前にでる。

「まぁまぁ鬼怒田さんそれは後で、とりあえず恐らく迷子の子たちを探しましょう?」
「む」
「鬼怒田さん、結城くんの言う通りだ。先に子供たちを探そう」

なだめるたいちょーに、忍田さんの加勢が加わる。
確かに誰が悪いとか探している場合じゃない。
怪我でもされたらそれこそ大惨事だ。
そこで俺は呼び出し音が長すぎることに気が付いた。
耳から離せば、呼び出し中のままつながらない電話。
今日はバイトは無いって聞いている。
そして、この番号は絶対に何があってもつながる番号で、つながらないってことはつまり。

「た、たいちょー…どうしよう」
「どうした?」
「お兄が、連絡、つかない」

俺がそういうと、たいちょーが目を見開いた。
完全に盲点だったのだろう。
俺も盲点だった。
あの人ぱっと見は普通だからこういうこと引っかからなそうなのに、変な所でぬけてるから巻き込まれちゃうような人なんだよな。
そっと輪から離れようとした女性の肩をたいちょーがつかむ。

「どこ行く気かな、加古ちゃん」
「いえ、別に。ちょっと用事を思い出して」
「絶対今鴇崎くんのこと一番初めに捕まえ行こうと思ってるでしょう!」
「あらやだ、バレちゃった」

加古さんがにこりと笑って優雅に去っていこうとする。
つい見送りそうになって、たいちょーが慌てて加古さんを引き留めている。
あの二人って、意外に仲良いよな。

「ダメダメ!子供の鴇崎くんとかエンジェルだから!加古ちゃん何するつもり!?」
「失礼ね。別に変なことはしない………わよ?恐らく」
「最後聞こえてるから!」

たいちょーと加古さんのやり取りに周囲から笑いが漏れる。
その隙を見て今度は二宮さんが抜け駆けしようとするのを目敏く見つけたたいちょーがそちらも引きとめてる。

腕の中にいる緑川が俺の耳たぶめっちゃ触ってくるから、緑川にめっと叱ると、当真がなぜか俺の頭を撫でた。
意味が分からない。
多分みんないろいろ混乱してるんだと思う。





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