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鴇崎くんと歩くその背に声をかける。

「ヒワちゃん!」
「あ、つぐみさん」

改修を一番最後にしてもらったので、久しぶりに会った気がする。
長らく合わないというのは仕事的にとかヒワちゃんの体調的にはよくある話だが、なんか今回のは違った。
居るのに居ないみたいな。
ヒワちゃんの頭を撫でる。

「おかえり!」
「ただいまです」

にこりと笑うヒワちゃんは22歳のヒワちゃんで、小さいヒワちゃんも可愛かったけど、やっぱり今のヒワちゃんがいいな。
俺と一緒に歩いてくれているヒワちゃんが好きだ。
鴇崎くんが顔を上げて廊下を見ていて、俺もすっと横にずれて道をあける。

「ヒワさん!!!!うわぁあああああんよかったよぉおおおおおお!!!!」
「わははよしよし」

ヒワちゃんに飛びついたのはくぐいだった。
良かったと叫ぶストレートな感情に、ヒワちゃんは笑ってその頭を撫でている。
ダイナミックな再会にちょっと圧倒されていると、鴇崎くんがヒワちゃんの背中を撫でる。

「はしゃぐと咳が出ますよ」
「そうだね」

生身に戻ったのであんまり動くと体に障るかもしれない。
くぐいも心得ているので、ぱっとヒワちゃんから離れた。
漸く、4人そろった。
ヒワちゃんはぺこりと俺に頭を下げる。

「ご迷惑おかけしました」
「ヒワさんマジで小さいころ高いところ好きだったんですね」
「お、ばれちゃったか」

くぐいの言葉にヒワちゃんがへらっと笑う。
大体背の高い人の頭にぶら下がっていたらしい。ちなみにくぐいは一度も登られてないと嘆いていた。そりゃ…ねぇ……?

「みんな隊服チェンジがあったらしいですね。写真ください」
「任せろ、俺の以外は全部撮ってある」
「え、つぐみさんのは…?」

ヒワちゃんに鴇崎くんとくぐいの分の写真を送ってあげる。
抜かりなく、余すところなく写真を撮りまくった。
自分を撮る趣味はないので当然俺の写真はないわけだが、というところでまさかの裏切り。
くぐいがスマホを取り出す。

「俺あるよ」
「こら!裏切りやめて…!」
「裏切りではない、これはシェアだ」
「俺も欲しい」
「鴇崎くん!?」

鴇崎くんの言葉に盛大に動揺する。
ど、どうしたの、そんな写真手に入れて厄除けにもなんないよ。
とはいえ、力づくで止める気もなく俺はみんなが楽しいならいいかぁと諦める。

「はぁ……まあ子供は凄く可愛かったし名残惜しかったけど、みんなが無事に俺の隊に戻ってきてくれてよかったよ」

小さい鴇崎くんとヒワちゃんを抱っこするくぐいの写真は俺の待ち受けだ。
ものすごく癒されまくったしいい思い出になったけど余所の隊に自分の隊員を放り込まれるのはもう二度とごめんだな。

「やっぱり自分の隊がしっくりくるよね」
「余所の隊は緊張しますね」
「俺もその話題に混ざりたかった…!」

くぐいも鴇崎くんもちゃんと戻ってきてくれてよかった。
余所の隊がよかったとか言われたらちょっと寂しいからね。

俺は自分の隊員を見てほっこりした。
みんないるなぁ。
終わりよければすべて良しというころで。

「よしとりあえず!」

俺らの任務は全部終わった。
余所の隊にまで入れられへとへとの俺は全力で休息を所望したので、明日は非番だ。

「俺はもう眠い!解散です!」

何日寝てないと思ってるんだ!
俺が解散を告げると、三人は笑った。

「ふふっ、お疲れさまでした」
「アハハ!たいちょーらしい!おつかれっした!」
「ゆっくり休んでください、おつかれさまでーす」



こうしてあっさりとトリガーパニックは幕を閉じた。






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