A級最終戦2











橋の手前で立ち止まり俺は弧月をだした。
そして太ももにつけたホルスターからハンドガンを取る。
ゆっくりとこちらにやってくる慶を見据えた。

「やぁ、慶」
「ヒワさん」

出水が少し離れた場所からこちらをうかがう。
慶に加勢するつもりならご遠慮いただきたい。
俺は出水を追い払うしぐさをする。

「出水、お前どっか言ってくんない?俺、慶とサシでやりたいんだよね」
「は!?いや、そんな簡単に言われても」

出水が困った顔をするが無視だ。
慶がそわっとする。俺の言葉に興味を持ったようだ。
よしよし、釣られてくれ。

「…本気で?」
「本気で、慶と遊んでいいと隊長から言われていてね」

発病してからまともに慶とは剣を交えていない。
通算すれば俺の方が勝ち越しているから当然やりたいだろう。
慶がにやりと笑って弧月をぬく。

「出水、お前、唯我の方行け」
「え!?」
「面白い、俺もヒワさんとサシで戦いたい」

釣れた。思ったより簡単に釣れたな。
流石に慶と出水をダブルで相手するのは骨が折れるので助かったし。
出水は頭をガシガシかいて呆れた声で叫ぶ。

「あーもう分かりましたよ!」


*******





出会い頭に鴇崎が仕掛けてきた。
向こうはこちらが見えていないはずなのに、恐らくくぐいのオペレーションで位置を推測しているのだろう。
四角いトリオンキューブが、五芒星、星の形をつくり、直ぐにこちらに放たれた。

「っ、しまった」
『出会ってそうそうメテオラって』
『風間さん!』
「大丈夫だ、掠った程度…」

あまりの動きの速さに避ける暇がなかった。
成形から撃ちだしが速いのが鴇崎だ。失念していた。
ギリギリよけるが、頬を少しかすめる。
カメレオンが意味をなさないと判断し一度解除する。
すると鴇崎がこちらを見た。

「風間さん見つけた」

その声に呼応するように物陰から人が飛び出してくる。
そして風間の腕をつかんだ。

『つぐみさん!』
「やっほう、風間くん俺と遊んでくれ」
「っ」

足下につぐみの隊の隊章が現れて視界がぶれる。
ワープだ。
つぐみがトラップをしていないからくぐいが発動させたのだろう。

直ぐに腕を払いが時すでに遅し。
どこかの建物の上に移動させられた。
対面するのはつぐみひとり。

「ここは……」
「さっきとは違う場所だよ、風間くんには俺とサシで戦ってもらおうか」
「………そんなに3位にこだわる理由はなんでですか」
「さて、なんでだろう。風間くんが俺と遊んでいてくれたら教えてあげるよ」

つぐみに背を向けたところで、きっと逃げるのは難しいだろう。
歌川と菊地原に唯我を任せる指示をする。
そして風間はスコーピオンを構えた。







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