実況席











『ここで試合終了です!!!!』

『結果は、影浦隊0ポイント、冬島隊2ポイント、そして結城隊がくぐい隊員の生存点含め3ポイントとなりました』
『最後、トウマさんを狙ったくぐい先輩の弾、すごい曲がってたけどあれなに?』
『前回東さんを狙った弾のようでしたけど……』
『つぐみちゃんが言ってたけどハウンドの機能をイーグレットにつけたらしい』
『そ、それはえげつないですね!』

『オサム?』
『……つぐみさん自分からあたりに行っていた…』
『つぐみちゃんらしいね』
『?』

『冬島隊はいつでもつぐみちゃんを狙えた。でもそれをしなかった。だから冬島隊に生かされた自分の点を自ら渡した。でもこれはランク戦だ。くぐいの勝ちを取る必要がある。当真が撃てば居場所が割れるから、自ら点を渡しつつ、そこをくぐいに撃たせて1点とったんだよ。―――くぐいにも、当真にも顔向けできる答えを選択した』
『……すごいな』
『色々、勉強になりました』

『個人の感情も、隊長としての役目も、全てを生かした選択だったんですね』
『自分は犠牲になってるけどね。そういう自分を大切にしない選択はやめるようにって言ってるんだけど……ほら東さんも怖い顔してるし』
『あ…完全にこれはつぐみ隊長、後で東さんに怒られるパターンですね』

『それでは総括に参りましょう。まず影浦隊の戦いはいかがでしたか?』
『序盤の影浦のくぐいを狙った動きはよかったですね。スナイパーを先に片づけておいた方が後が楽だ』

『ただ、同じくあぶりだしを狙っていたつぐみ隊長に釣られた絵馬隊員は痛手でしたね』
『本当にくえないな、つぐみさん』

『そして影浦隊員を捉えたつぐみ隊長のトラップですが』
『予想外すぎて回避できないですね』
『俺も無理だなあれは』
『初見殺し、だな』

『北添と絵馬が何もできずにベイルアウトしたのが敗因、ですね』
『2チーム相手にしているようなものでしたもんね』

『そして冬島隊』
『当真の判断は格好良かったですね、誰にも真似できないことだと思います』
『そうですね、まさかランク戦で別の隊をかばうなんて、しかも策略ではなく純粋にかばっていました…発想になかったです』

『そして結城隊ですが』
『エース不在でよく踏ん張りました』
『冬島隊が味方に付いたのが大きかったと思います』
『そうだな、トウマさんとかげうら先輩を両方相手にするのは骨が折れそうだ』
『二人の言う通り、冬島隊の力がなければもっと苦しい展開だったでしょう』

『仁徳、ですかね』
『仁徳ですか』
『はい、優劣や自分の優位性を抜いても、守りたいと思わせるだけの人柄であった。これもある意味、戦略の一つとも言えます。必ずしも戦闘に私情を持ち込まないわけではない。時に、「人らしく」戦うものもいます。それを味方につけたのが結城隊ですね』

『なるほど。三雲隊長、今回の試合を通していかがでしたでしょうか?』
『……とても、勉強になりました。僕では到底思いつかない手だった…もっと、考えないといけないと思いました』
『空閑隊員はいかがでしたか?』
『面白かったです。かげうら先輩とつぐみさんの戦闘が見れるとは思っていなかったので』
『迅さんはいかがでしたか?』
『遊真とかぶりますが、つぐみちゃんの抜刀した姿が見れたのは貴重だったのでよかったですね』

『それでは最後の質問コーナーです!残念ながら時間がないので1つだけですが…「ボーダーへの入隊理由は?」ということです』
『ヒワさんは昔からいたしなぁ。……つぐみちゃんは…まぁ、色々あって連れてこられた感じ、かな』
『色々…?』
『そんで鴇崎は前からトリオン量で勧誘されてたみたいだけど、興味ないってずっと断ってて、嵐山と二宮さんがなんとか説得して入れたらしい』
『そうだったんですか…!』
『くぐい先輩は、トウマさんに引きずられて入ったってあらふねさんに聞いたけど』
『そうだよ』
『当真隊員に連れてこられるくぐい隊員が目に浮かびますね』
『ドナドナみたいだな』
『ドナドナ?』
『子牛が哀しそうな目で売られていく歌』
『(哀しそう………というより拉致に近い光景が浮かぶな………)』

『それではB級ランク戦初戦、これにて終了となります。長らくお付き合いいただきありがとうございました!実況はオペレーターの武富桜子と、迅さん、三雲隊長、空閑隊員でお送りしました。今後の試合もぜひお楽しみに!』









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