B級戦6









来馬、小荒井、東がベイルアウトし、残ったのは、村上とヒワ、そしてくぐい。
ヒワは弧月をおろし、村上もシールドを消して弧月をおろした。

「参考に聞いてもいいですか?」
「なに?」
「今のくぐいの弾、何ですか。あんな狙撃みたことないです」

市街地Cは階段状の宅地が斜面にそって続く地形だ。
撃った角度としては、くぐいが東より下にいたはずだ。
おまけに、東の潜んでいた家は左右の家より少し窪んだ位置にあり、通常であれば直線では当たらない角度だっただろう。
しかし、先に見たくぐいの弾は扇状の軌道を描いた。
あんな弾はみたことがない。
つぐみさんは既にベイルアウトしているので、自動で発動する機能なのだろう。

「つぐみさんが作った特殊弾だよ」
「…東さんも初見ですか」
「俺もいま初めて見たとこ」

ヒワが苦笑いを浮かべる。
どうやら事前に知らされていなかったようだ。
村上はくぐいが潜んでいるであろう建物のほうへと視線を向ける。

「避けられなくて当然ですね」
「つぐみさんはくぐいには甘いからね」

ちょっとずるいよね。そうヒワは言う。
この人もそんなことを言うのかと、少し驚かされた。
そもそも隊に所属している段階で、ヒワもつぐみに甘やかされいると思うけれど。
村上が口を開く前に、ヒワが口を開いた。

「それじゃ、今日のエース。やってくれ」

その言葉と同時にイーグレットから弾が飛んできた。
村上の米神を迷いなく弾は打ち抜く。







ヒワは弧月をおさめて斜面を見上げる。

「おつかれさん」
『おつおつっす』
『おつかれさまでした』

通信機からくぐいと鴇崎の声が聞こえてきた。
つぐみは、大分前から仕事に消えたらしい。
あれ以降の動きはないとよんでいたようだが、東や村上相手に随分と余裕だ。

つぐみが敵じゃなくてよかったと安堵しながらも、100%予定通りに動けなかった自分の失態に悔いが残る1戦となった。





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