日常B









隣を歩く東に同意を求める。

「嫁っておかしくない?おかしいよね???」

次の日になり、俺は本部の手伝いに来ていた。
あまりに来すぎていて、そろそろマジで本部扱いにされそうで怖い。
偶々東と廊下でばったりあったので一緒に歩いている訳だが。

「バージンロードの付き添いは俺にやらせろよ」
「なに父親気取ってんの!?」

なんで便乗してくるのか。乗りの良い奴らしかいないのかと俺はちょっとげっそりする。
常識的な子をください。風間くんとか、木崎くんとか。
話した相手が間違っていたと俺が悔やんでいる横で、東は東で明後日な方向の心配をしていた。

「鬼怒田さんも付き添いやりたがりそうだな…」
「なんの心配してんの?」
「どちらかじゃなくて2人とも歩くか?」
「なにを言ってるのか」
「あ、待てよ。林藤さんもいるしな…」
「おいこら話を聞け」

いや、そもそも違うでしょう。誰が付き添いをやるかとかじゃないでしょう。
しかもなんで争おうとしているの。
勝手に巻き込まれている鬼怒田さんと林藤さんが可哀想だし、そもそも俺の父親はお前らじゃねーんだよ。

「俺は3人には感謝の手紙は読まないからね?」
「そこは読めよ」
「読まねーよ。お前らは父親じゃないし、そもそも俺は嫁じゃねーんだよ」

なんで俺の式の準備が着々と進んでるんだよ。
俺が東の背中をばんと思い切り叩くが、東は笑うばかりだ。

「頑なだな。つぐみなら綺麗に着こなせるよ。白いドレスも」
「半笑いでなに言ってんだこいつ」
「白無垢にするか?」
「東さーん?日本語わかりますかー???」

悪乗りしたくてしているだけにタチが悪い。
こうなると気が済むまでこんな感じだ。
そもそも、俺がそんな服着て似合う訳ねーだろというべきなのか、女じゃないんだから着る訳ないというべきないのか、結婚の予定はないというべきなのか。
突っ込みが追いつかない。
というか、どこまで発展させるつもりだよ。
なんで嫁からバージンロードで感謝の手紙で、ドレスなんだよ。最終的にどこにいくんだよこの話題。
俺は心底げっそりした。

「もう、どいつもこいつもからかいやがって…」
「100%冗談なら俺も許せたんだけどなー」
「ん?」
「いや、こっちの話」

東が何か呟いたが俺はそんな事よりどうやったら結婚の話題から離れることが出来るんだろうかと真剣に悩んでいて聞いていなかった。
でも大した話じゃないみたいで教えてくれなかった。まぁ興味も無いですけど。

「しかしまず俺や残りの玉狛を倒してからじゃないと」
「その通過儀礼みたいなの止めません??諏訪くん凄い可哀想だったからね???」

烏丸くんと結婚したいわけじゃないけど、その東達を倒さないと俺との仲は認めませんみたいなのは一体なんなの。
お前らどのポディションなの。
切り刻まれ撃ち殺されていた諏訪くんを思い出してそっと目を伏せる。おぞましい事件だった。
そんな俺に、東は「冗談はさておき」と続ける。

「まぁ、本気で結婚しそうになりそうだったら、つぐみが嫌がっても連れて逃げるよ」

俺の頭を撫でて東が笑う。
そうか、連れて逃げてくれるのか、じゃあ結婚しなくていいな。
と納得しそうになったが俺はそんなに単純じゃない。

「…待って、いま流されそうになったけど、ドレス着ること前提になってる。着ないよ?着ないからね??」
「ハハ、フラグだな」
「それは回収しないフラグだから…!」

回避できるのは結婚と感謝の手紙だけでドレスは着てんじゃねーか。
ていうか嫌がってもって俺の意思はどこに!?
全然フォローになってませんよ東さん。
俺が抗議しても東はハハッと笑うばかりで、完全に俺はもてあそばれていた。





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