黒トリガー争奪戦@









宇宙船すら見たことないのに異世界にいける船の着陸を見届けるとは思わなかったよね。

「遠征艇戻ったぞ!」
「ハッチ開けろ!」

遠征艇の着陸と同時にエンジニアが整備のために船にわっと近づく。
ハッチを外から開けているのを確認する。
みんな怪我してないといいなぁ

「結城、こっち手伝え!」
「はーい!」

先輩の声に俺もそちらに向かう。
開いたハッチの横を通り過ぎたところで、何かに腹へと手を回されて掬いあげられる。

「うわっ」
「つぐみちゃーん、久しぶりだねぇ」
「……とーまくん」

とーまくんに抱えあげられて俺は穏やかな表情を浮かべた。冬島さんととーまくんに抱えあげられる事多すぎて慣れてきたな。この距離感の近さにはもはや何も言うまい。
おかえりととーまくんの頭を撫でると、とーまくんはちょっと驚いた顔をした後、にやりと笑いながら「ただいま」と口にした。思った以上に元気そうだ。

「みんな無事?元気?」
「隊長以外はな」
「冬島さんどーかしたの?」
「船酔いだな」
「あらま」

冬島さん乗り物酔いとかするタイプなんだ。
それはともかくみんな無事なら良かった。俺は本部所属じゃないけど、やっぱりみんなのことは心配だし。誰か一人でも欠けてほしくは無い。

「当真、何をしている」
「あれ、つぐみさん」
「風間くん、太刀川くん。おかえり」

とーまくんに下ろしてと言えば、風間くんの前だからか素直に床に下ろしてくれた。
太刀川くんと風間くんも元気そうだ。それを見てしまうと、冬島さんだけ元気じゃないのってやっぱり若さなのかなと思ってしまう。

「あ、つぐみさーん!」
「出水くん、おかえりー」

遠征艇をちょうど出てきた出水くんにも応える。
あちらも元気そうで、ぶんぶんと手を振ってきたので俺もそれに手を振り返した。
歌川くんとか他の子たちも元気か気になったが、よく考えなくても俺はここにそんなことをしに来たわけではなかった。

「結城!さっさと来い!今日玉狛帰さねーぞ!」
「すんません!すぐに行きます!」

先輩の怒号に俺はしゃっと背筋を伸ばす。仕事でまた本部の手伝いに来てるんでした。
遠征艇の帰還で手伝いにまた本部に通っているが、今のところ帰りは夜中になってしまうけれど何とか泊まりは回避できている。
前回の8連勤がトラウマとなっていて、玉狛に帰りたすぎた俺は挨拶もそこそこに先輩の元へ走った。


この後、みんなが新人のトリガーを狙って玉狛に向かった事は、俺には知らされなかった。
というか玉狛に新人が入っていた事すら俺は気が付いていなかった。



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