羽みたいに笑う














「──あ」

ぽつり。空間に落ちた声に視線を向ければ、僕に手を伸ばす李依がいた。
近付いてくるしなやかな指。怯んで身を引けば「動かないで」と釘を刺される。
ごそごそとたっぷり髪と服を掻き乱されたあとで、李依の両手には溢れんばかりの羽が乗っていた。

「……いっぱい取れた」
「そ……それは?」
「羽」
「見れば分かるよ」
「たまに取れるんだって絵倉くんが」
「……僕から?」
「うん。頑張った英雄の周りに舞ってるらしいよ」

頑張ったんだね、タクミくん。
そう言ってふわりと笑った李依の髪に、羽が一枚引っ掛かっていた。
無意識に手を伸ばして、僕は、そのまま。