「何で俺から逃げるんだよ?」

『、逃げてなんか…』
「ないわけねえだろ!」


壁をドンッと殴るとびくっとナマエが震え上がった。口元が緩む、バカだな


「お前は俺が守るって言っただろ?なのに何で俺から離れていくんだよ、なあ」


ナマエ、どうして俺から離れていくんだよ、どうしてあいつらのところに行くんだよ、どうして、


「何か言えよ、なあ、ナマエ、」

俯いてないで、何か言えよ、言ってくれよ、ナマエ


『エ、レン、わた、し』

ひゅ、と息がきれる音がした。ああ、やめてくれ、それ以上は聞きたくなかったのに、ぷつりと何かが切れる音がする。気がつけばナマエの顔が目の前にあって、ああ、もういいよな、ナマエの逃げ惑う舌をひっしに絡めとって十分堪能して唇を離す。飲み込めなかった唾液がナマエの頬に伝う。ペロリと舐めキツく抱きしめた。




「ごめん、でも、愛してるんだ…っ」



声が震える、だらりとさっきまで力無く垂れ下がっていたナマエの腕がまわされて、よかった、これ断られたら何してたかわからなかったもんなあ、なあ、だから、俺から離れていかないでくれよ、ナマエ



20130519/僕を必要としてくれよ