誰よりも長くずっとエレンの近くにいたはずなのに、一番エレンのことを知ってるはずなのに、いつからだろう、私の知らないエレンがいるんだ、いつからだろう、ミカサとエレンが一緒にいるのをみてどす黒い感情に支配されるようになったのは、違う、やめて、こんなの私じゃない、否定しても否定しても否定した分だけ、もしくはそれ以上私の中の汚い感情の塊が私を支配するから、それを知られたくなくて、見られたくなくて、エレンから離れたのに、なのに彼は私の名前を呼ぶのから。笑顔で、嬉しそうに、優しい声で、君が呼ぶから、それがより一層私の心を汚くするんだ。


「…ナマエ?」

そう、こんな風に、エレンは、私のことを呼ぶ、か、ら

「どうかしたか?っおま、泣いて」
『、何でも、ない』
「泣いてるのに何でもないわけないだろ!どっか痛いのか?」
『、ごめん、』

ごめん、ごめんと口を開けば謝罪をし続けた。黙って聞いていたエレンが私の身体を引き寄せ、ゆっくりと、やさしく、頭を撫でる。エレンのあたたかさが、やさしさが、ほら、また、大きくなっていくの

「ごめん、ナマエに泣かれると、俺どうしたらいいかわかんなくて、」
『、うん、』

「、悪い、嫌だっ…」
『嫌じゃない、嫌じゃな、いから、暫くこうしてて、いい?』

「あ、ああ」


腕を伸ばせば届く距離にいるのにどうして遠いの、エレン、好きなのに、遠いよ



20150518/近くて遠いきみ