前を歩いていたエレンの手をすっと掴む。エレンは驚いた後あきれた顔をし足を止めた。


「あのなあ、」

『あはは、ごめんって』


悪びれもせずに笑って謝るナマエに毒を抜かれそのままゆらゆらと手を繋いだまま顔をあげ景色を眺める。


「この空はどこまで広がっているんだろうな、」

隔離された空しか知らない、外にはどんな景色が広がっているのだろうか、壁の外から少ししか出たことのない人類にとってはこの青い空だけが、空なのだ。



『きっと、どこまでも、だよ。』

ナマエの声がエレンの中へじんわりと浸透していくようなそんな錯覚を覚えた。

『どこまでも、この広い空が続いていて、そこには私たちの知らないものがたくさんあって、それを私たちは一つずつ発見していくの!』

「、ああ、そうだな!」


笑ってから手を繋ぎ直しエレンとナマエはどちらともなく帰るべき場所へと歩き出した。




20130604/このうつくしきせかいで


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