本当の私
「おーい名前ー!」

『あ、今行きまーす!』


グリロが私を呼んでいる、きっと今日のメニューのことだろう。本来ならばマネージャーとしてチームのご飯を用意しなければならないのだが何分私は日本料理しかつくれない、それに彼らの口に日本料理があうかどうか、それが不安だった。だからグリロに頼んだのだ、それと練習が終わったら少しでいいから料理を教えてくれ、と。一瞬驚いていたが彼は快く了承してくれたから助かった。選手には少しでも長く練習させてあげなければ…、



「おお、そんな感じそんな感じー、名前料理できるじゃん」
『日本料理なら作れるっぽいんです、』
「へえー…そっか、じゃあ日本出身なのかね?」
『まだ、よく思い出せませんが…』

「そっか、まあ早く思い出せるといいな」

『、はい』


本当は、記憶喪失なんてしていない。ただその方が都合がいいだけ。髪だって赤から黒のウィッグをかぶって目だって黒のカラコン。影山さんから全部渡されたものだ。これで変装してブラジル代表ザ・キングダムのマネージャーになれ、と。影山さんにガルシルドさまを紹介されて、そして私はガルシルドさまが拾ってきた記憶喪失の可哀想な子、となって今ここにいる。だからチームの皆優しい。最初は少しあれだったけどね、でも日頃真面目に仕事をしているからかそれともただたんにお人よしなのか、


「名前?名前どうかした…?」

『、あ、いや、美味しそうだなあと…』
「なんだそれー」


、上手く誤魔化せたようだ。危ない危ない。今は料理に集中しなきゃ、な。


「あ!名前今度俺に日本料理教えてよ、俺興味あるんだ」
『勿論、いいですよ。じゃあ今度二人でアレンジ考えてみません?』
「おっそれいいな、じゃあなんだっけあほらあれ手で食うやつ!俺あれ食べてみたい」
『食べて…ええそれアレンジどこ行ったんですかー』
「まあまあ、食べてからだろーアレンジはー」
『まあ、味がわからなきゃアレンジの試用ありませんもんねー』
「だろ?!」

「あれ、二人とも何してるんだ?」

「ラガルート!」
『料理、教えてもらってるんですよ』

「本当だ、美味しそうだ!」


ラガルートさんの声を聞きつけてチームの皆がどんどん入ってきて、大賑わい。そのにぎやかさに圧倒されていたら今度皆が私の作った日本料理を食べてくれることになっていて、びっくりしながらとりあえずフェイジョアーダを皿にわけた。







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