世界で2人っきりだったら
『しろーくん、士郎くん、』
「なあに、名前ちゃん?」
『さっき、』
知らない男の子に触られちゃったの、だから消毒したんだけど消えないの。どうすればいい?汚くて汚くて汚くて消したいのにこびりついてとれなくて、でも士郎くんにこんな汚いところ触って欲しくないんだ、でも汚いのは洗いたい、どうすればいいのかな、なんて考えていたら柔らかいものが触れた。舌でぺろりとなめられてからガリッと歯を一気にたてられる、皮膚が裂けて血が出てきたのか噛まれた部分があつい。士郎くんが血をなめてくれてるんだろうけれど唾液と血が混ざったのが腕から垂れる。それをとって口に運ぶ、
「ん、美味しかった?」
『士郎くんの唾液の味がした』
「ふふ、僕はね、名前ちゃんの血の味がしたよ。」
『お互いの味だね』
「だね、」
『あ…』
「どうかしたの?」
『うん、』
頭にハテナを浮かべる士郎くんを引き寄せて足りないぶんの身長は背伸びで、ちゅうと士郎くんのふっくらとした唇にかぶりつく。終わり際かるく噛みついたら士郎血が私の唇についた、ルージュみたいだけど勿体無いからなめたら鉄の味がした。
「ふふ、嫉妬?」
『バレてた?だって士郎くんの髪の毛も眉毛も睫毛も眼球も鼻も唇も声も皮膚も爪も血一滴ですら私のものなのに、』
あの子、続けようと思ったけど止めた。だって目的は果たしたもの。ああ、この世界が二人だけのモノだったら良かったのに
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