「帰るぞ、名前」

『は、はい…』


ん、と差し出される荷物を条件反射で持ってしまったこの癖が、悲しい。そして毎日そうだが重い、この鞄まじで何が入ってるんだと疑うほど重い。あの夏休み全教科書持って帰らなきゃいけないくらいの重さだよこれ。因みに私は置きっぱなしだから問題ない。


「あ、ちょっと待ってろ」

『…早くしてくださいよ』
「は?」
『イイエナンデモアリマセンイッテラッシャイマセ!』


笑顔で見送って一息、鞄地面に置いちゃダメかな、でも前置いたら私の鞄水たまりにもっちゃんさせられたんだっけいや今だけなら南沢先輩みてないし大丈夫だよねほらいまだk
「名前、」
『はいすいませんごめんなさいなんでしょうか南沢先輩!』
「いや、こいつが紹介してほしいってよ、」

「こんにちは…?かな?俺南沢と同じクラスのモンです、えーっと名前ちゃんは南沢の彼女なの?」


あ、この人ヤバイ、そう思ったときにはすでに遅く、南沢先輩が…笑っていた。多分この人は気が付いていないだろうがこれはそうとう怒っている、ものすごい怒っている。だってほら目も笑ってないし口元も若干引きつっているしなにこれ、帰っていい?


『あの、その』

「えー彼女じゃないの?どうなの?」

『彼女じゃ、ない…ですよ?ね、南沢先輩』
「当たり前だっつーの、こんなやつと付き合うなんてそうとう物好きしかいねーよ」
『な、…失礼であいやなんでもなんで本当睨まないでくださいごめんなさい!』
「…ふーん、まあいいや、じゃあな南沢、に名前ちゃん!」

『あ、はいまたー』
「二度と野球できなくなれ」
「ははふざけんなーこのやろー」


あ、嵐が過ぎた…まあよかったよね、うん。っていうかあの人勇者だな南沢さんにたてつくだなんて本当に心臓に毛生えてるんじゃないのかな…


「ほらぼさっとすんなトロい」

『げふっだ、だからって蹴るだなんてああ嘘ですわー南沢さんに蹴られたワー』
「キモ」
『…泣いていいですか』







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