さようなら、夢
「姉さん、姉さんってば、」

『あー……、ヒロト、か』


「うんそうだよ、ってほら布団に戻らないで起きて!」
『んー、や、だ…』



だってこれは、夢だもの。ヒロトが私を起こしに来るはずがない、だって君はまだ鳥籠に囚われている鳥、私は自分のことで精一杯だと言い聞かせ君をただ見ているだけ。でも先に私を見放したのは君、だってあの人が必要なのは瓜二つのヒロト、君だけだもの、皮肉よね、双子なのにヒロトとは全く似ていない、彼らには不必要な存在、だから引き取られることを望んで、ここに、いる。だから、これは夢。私が望んだ欲望を描いた、夢、一緒にいたかった、隣にいることを望んだ、でももう、帰れない。



「ほら…いい加減起きて、遅刻しちゃうよ?」

『、一緒に…寝よう?』



そういうと諦めたのか目を細めて薄く笑って仕方がないな、今日だけだよ?と言って隣にきてくれようと、してくれる。嗚呼今日は、とわずかな期待を胸に抱けば、ほら夢は終わりを告げる。




『、っぶね…』
「よォ、気分はどんな感じで?」
『ッチ、最低だっつーの』

「そ−か、早く着替えろ今日が、本番だからなァ…」


ああ、そんなこと言ってたっけ、どうでもいいけど恩を仇で返すような真似はしたくない、しな。かといってこれからやる計画に乗り気なわけでもないが、しぶしぶタンスから服を引っ張そうとすると今日は制服なと釘をさされてしまう、


『あの制服スカート短えんだよ、ったく…つーかいつまでここにいる気だ』
「あーあー出でいきゃいーんだろへいへいっと」


ドアの向こう側へ行ったのを確認し制服を着る。堅苦しいのは嫌いだ、着崩したいが今日は出迎えの日だったな、小鳥遊ちゃんも連れて行くのか?そうだったら私の仕事が減るから嬉しんだけどな、彼女優秀だから。し、行くか。



『待たせたな、』
「、行くぞ」

『…ああ』








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