この舌を噛み千切ったらどうなるだろう、死ぬのか?その前にこっちの口の中が鉄の味が充満して血と唾液が混ざり合った液体が伝わって、


『なあに、考えてるの?』

「別に」


『そ、』


艶かしい、そんな表現がぴったり似合う。だらしなくだらりとたれさがっているキャミソール。言ったそばから…


「肩、」

『ね、』


手を掴まれ目と目が至近距離で合う、何もかも見透かされていそうで視線を逸らした。それが気に入らなかったのかねっとりと舌で首筋を這う、ああ、




『スキじゃない女の子にこうされるの、どういう気分?』

「、なに言ってるんだ?」



『拓人のうそつき』


笑って紡がれた言葉は俺の心に深く深く沈んでいくと同時に閉じ込めていた何かを甦らせる。むしゃくしゃした想いをぶつける術はほかにもたくさんあるはずなのに気がつけば上に被さってる、そして薄く笑うナマエの姿を見て浅はかな自分を嗤った。




20110828/そこに彼女はいなかった




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