最近三国先輩と南沢先輩が相手してくれない、と幼なじみの拓人に話したら拓人は苦笑いをして頭を撫でてくれた。三国さんと南沢さんは俺たちより忙しいから仕方ないって。そうだよね、私我慢しなきゃダメなんだよねって拓人に言ったらナマエは偉いよとまた頭を撫でてくれた。嬉しいけどだけどさ。むーう、


『拓人のバカやろう、私を幼稚園児扱いすーるーなー!』
「ごめんごめん、つい癖で」
『うー、頭撫でてくれたら許す』

「仕方がないなあ、」


と言って頭を撫でてくれる。いつも思ってるんだけど拓人の手、あったかくて好きだなあ。やっぱり小さい頃から変わらない気がして凄く安心するんだ。


『んあー…』

「寝るなよ?」
『うーん、頑張る』

「なあ、」

『んー?』


「いや、何でもない」


『そっか』


私の頭の上にある拓人の手が止まる。大好きな拓人が、大好きなサッカー部の皆時々こうやって私を呼んでは何かを話そうとして、止める。気になるけど聞かない。だって皆が辛そうな顔をしてるのはイヤだから。だから私は無知な子供になるのだ、少しでも皆についた傷を消せるように。



『ねー拓人、お腹へったよ、』
「さっき霧野からもらった飴食べてなかったか?」
『それはそれ!これはこれ!皆が帰ってきたらコンビニかなんか食べに行こうよっ久々に買い食い買い食い!!』
「、そうだな」




拓人、皆、ごめんね。伝えなければいけないのに、壊す勇気がない私は心の中で呟いた。



20110611/死んだ精神