『以上です、南沢先輩!』
「あー、わかった」
『ちょ、南沢先輩ちゃんと聞いてます?』
「聞いてる聞いてるって、」
あ、適当にはぐらかしたなこいつ。イケメンだからってさ、酷いよ。南沢先輩のばーかと一言私からのプレゼントをあげて先輩の教室を出る。廊下に出て少し歩いては振り向く、端から見れば不審な行動なんだけど、南沢先輩が追ってきてくれないかな、なんて期待を抱いていて、
『はあ、』
「でっけーため息、振られたか?」
『ニヤニヤして聞かないでよ倉間、本当性格が捻くれてるよねあとまず告白もしてないし南沢先輩のことそういう目で見てないから』
「ハイハイ」
嫌味を言ってもまだ倉間の顔はニヤニヤしていて、それがとてつもなく不愉快に感じる。もうここから立ち去って三国先輩か神童に慰めてもらおうと考えた矢先倉間が私の手を引っ張る。突然のことで対処仕切れなかった私は倉間に支えられ、まあ、要するに、抱きしめられる形でなんとか床と熱烈なキスを交わさずにはすんだ、が
『あ、ああああ危ないでしょーが倉間!何?!日頃私にそんな恨みがあったの、…か、て、み…南沢先輩?』
あれ、何か空気固まってる?修羅場ってやつ?んなまさか、とかなんか現実逃避していたら南沢先輩が私の右腕を引っ張る。が、私の体は倉間にがっちりホールドされているため動かない。そして右腕とそのとりあえず腰ももうすべてが痛い。な、なんだこの状況!
『あの、南沢先輩…腕、痛いんですけど、』
「俺は離さないよ」
『は、はあ、えー倉間、腰痛いんだけど、』
「無理」
無理じゃねーよとりあえず二人とも離れてくれよというがお互いひいてくれそうもない、授業もそろそろ始まる、あ、これ最悪パターンじゃん。どうしてくれんの
『あの、お二方…?』
「俺は離すつもりはない、倉間早くコイツから退けよ」
「意味わかんないんスけど、なんで俺が離れなきゃいけないんスか」
『あ、もうなんか長くなりそうなんで一旦二人とも離れてくださいはい。』
「っち、離れろよ倉間」
「すいません無理ス」
あーどうして こ う な っ た。っていうか元はと言えば南沢先輩が話聞いてくれないからいけないんじゃん。なのにさ我が物顔できやがって、いや嬉しかったけど!でも倉間優しいし、倉間いいヤツだし、チビだけど可愛いしあーもう!
『…三国先輩と神童に会いたい』
20110612/とりあい