『か、一哉…くん』
「なあにナマエちゃん?」
ニコニコと、笑いゆっくりと私を一哉くんは抱きしめた。まるで割れ物を扱うかのように優しく、あたたかく。いつも優しさに満ちている彼の笑顔は何か、少し、違う気がした、けど、それは、ただの気のせい、そう、私の気のせいなんだ。言い聞かせるようだけれど、本当に、私の、勘違い、なの。
ゆっくりと一哉くんの方へおずおずと腕を持っていくと一哉くんの、力が強まった。
『、一哉く…ん?』
「ナマエちゃん…ごめん、ね」
『ど、したの?わっ私なんかしちゃった?』
「ちがっ、違うんだ、だから、少しこのままでいさせて?」
『ん、』
返事をすると一哉くんはさっきよりも力をこめて私を抱き寄せた。一哉くん、一哉くん、ごめん、は、私の方なんだよね、一哉くんは、何も悪くないんだよね、何も出来なくて、ごめんね、私の太陽、
太陽の光を奪うあのとき、私がしっかりしてれば、一哉くんは、サッカー、できたのに、ね。
ごめんね、何も出来ないお姉ちゃんで。