咥内を貪る荒々しいキスに戸惑いつつも応えようと必死に舌を絡ませる、酸欠になるんじゃないかと思うくらいに長くて深い、やっと離してくれたと思えばフィディオが今にも泣き出しそうな表情で私を力強く抱きしめる。腕をまわそうか、躊躇した結果そっと背中に腕を回すとぎゅうとそれに応えるかのようにフィディオが私を抱きしめてきた。まるで俺を見ないでと、言うように。





『…フィディオ、』


「…オレ、っは…」



勝ちたかった…っと、声にならない叫びが聞こえる。、悔しい悔しい、と聞こえる。エンドウくんと、決勝で戦うんだと、彼は言った。それが果たせなくなってしまった今、どんな気持ちで私を抱きしめているのかわからない、どれほど辛いのかわからない、でもこうすることで少しでも彼の痛みが、無くなるのであれば、



『フィディオ、』

「ん…っ、」


ちゅう、と始めは啄む程度だったキスは気がつけばお互いの舌を絡めるのに必死に、口を離せばうっすらと銀色の糸がひく。私がゆっくりと息を整え、終わるのを見計らったのかなんとも言えない表情をしたフィディオの唇が動いた、





「   」



20110421/あやまるくらいなら