私の日課は鉄塔に来て夕暮れを眺めること。何をするでもなくただ夕日が空へと落ちていく姿を眺めるだけ。春夏秋冬、ほぼ毎日見てきたけれど見飽きない、寧ろいやなことが忘れられるし毎日違う夕日が見られ、この時間が私の唯一の癒やしだった。赤が溶けてオレンジになり、やがて静寂とともに夜が訪れる、友人には質素な幸せだと言われたが私にとっては最大の贅沢だった。そんな毎日にもう一つ、神様が私にプレゼントをくれた。それは、私がもっと近くでみたい、そう望んだからだろうか、何にせよ神様は私にプレゼントを与えてくださったのだ。今日も居るだろうか、話さなくてもいい、彼のことを一目見れるのならば、触れられなくてもいい、彼が楽しいなら、私はそれだけで幸せなのだ。彼は皆から愛されている、マネージャーさんも彼のことが好きで、告白とかするのだろうか、そしたらどうするんだろう、付き合うのかな、そうかもしれない。私が考えたところで彼の人生なのだから意味はないと知りつつ考えてしまうのはどうしてだろう、こころが、くるしい



「――……!」

『あ…え?』


落ち着くためにヒュイ、と空気を吸い込む。ど、して?どうして、円堂くんが…ここに?ぐるぐるぐるぐる忙しく私の頭が回る。情報整理が追いつかない…っ


「大丈夫か?」
『う…っうん』

「そうか?無理すんなよ!」

『あ、りがとう』


私、円堂くんと話して…る?うわうわ、なんだか心臓がさっきとは違う、きゅーっとする。だけど心臓はばっくんばっくん音を立てて騒いでいる。私の心臓ど、どうなってるんだろう。きゅっと服の上から胸を抑えると円堂くんが何かを決意したように立ち上がる。え、円堂…くん?


「んー、確か家この先だったよな」
『そ、だけど…』

「よし、ほら背中のれよ!」
『え、えっ?!』
「のったな?それじゃ行くぞ!」

『え、えええんどっく…ん!』


じ、自分で歩けるから…っ!大丈夫だよと訴えるが聞く耳持たず、友達が辛そうにしてるのに放っておけるわけないだろ、って、同じクラスでもないのに、ましてやまともに話したことすらない私なのに、どうして彼はこんなに優しいのかな、このぬくもりを離したくない、そう思う私は欲張り。だから今だけ、彼にしがみつくことを許してください。



神様からのプレゼント/20110411