No.32 吉良ヒロトと基山ヒロト




2時間後に試合を行うことになり私達は暫く休憩を取っていた

「........」

私はと言うと次の試合に向けてウォーミングアップをしてからベンチに座った。でも私が思ったのはどうしても気になったあの言葉だった


『天国にいるあの子は望んでいないわ』

あの言葉がなぜか引っかかる。なぜ、瞳子監督はあんなことを言ったんだ



今はいない瞳子監督が気になり私はチームから離れ瞳子監督と吉良星二郎を追いかけた




No.32 吉良ヒロトと基山ヒロト


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「うぅ........迷った」

2人の跡を追って来たものの完全に迷ってしまった私

「ど、何処行けば瞳子監督に吉良星二郎に会えるんだろう」

キョロキョロしてるとふと誰かの声が聞こえた

「この声、瞳子監督のだ」

どうやら奥の部屋で2人が話し合いをしているみたい

私はそっと耳を澄ませて2人の会話を聞いていた

『お父さん、こんなことはもうやめて。あの子達には何も罪はないわ』
『確かにあの子達には何も罪はないでしょう。でも、『ヒロト』のためなんですよ』
『そんなことないわ。あの子は.....『吉良ヒロト』はそんなこと望んでない』

!吉良.....ヒロト。ヒロト君と同じ名前

「どういうこと......」

吉良ヒロトって誰のことを言ってるの

『お父さんだって世界征服をしたってヒロトは帰ってこないことぐらいわかるはずよ』
『えぇ。でも、海外留学先で事件に巻き込まれた。あの子にとって私の大事な息子なのです。なのに警察は『事件』ではなく『事故』と判断したんです!納得いく親はいないでしょう』
『だからと言って晴矢やリュウジ・風介達には関係ないわ。ましてやサッカーで世界征服なんか』

や、ヤバイ......全くわかんないよ
どういうこと?『吉良ヒロト』は吉良星二郎の息子で多分、瞳子監督も吉良星二郎の娘なんだろうな

じゃ、私の知ってる『基山ヒロト』は?

「誰なの..........ヒロト君は」
「俺は俺だよ。君の知ってる『基山ヒロト』だよ」
「えっ........んっ!!」

私の背後に誰かの声が聞こえたが声を出せなかった

でも、誰が私の口を手で塞いでいたなんてわかりきっていた

そして光に包まれながら瞳子監督なんかがいた部屋の前から私達は消えたのだった

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「手荒な真似をして悪かったね」
「手荒ではないんじゃない?ここ、ヒロト君の部屋?」
「そうだよ。正確にはベッドの上」
「........................帰る」

私は嫌な予感がしてベッドから降り部屋のドアに向かって歩こうとしたら

グイッ

「えっ.........」

ボフン

「なんで私の上にヒロト君がいるの?」
「俺が押し倒したからだよ」
「早く行かないと皆心配するよ」
「大丈夫だよ.............で?どうだった2人の会話を聞いて」
「別に..........っ!」
「答えて」
「ちょっ.........どこ触って.......んっ」
「答えないともっと酷いことするよ」

ヒロト君は私の服に手をかけた
でも、私はわかる。ヒロト君は絶対に私が嫌がることはしないって

「祐奈.........」
「ヒロト君はヒロト君だよ」
「え.....」
「私は『吉良ヒロト』のことはわからないけど君は私の知ってる『基山ヒロト』だから」
「あ.........」

私はヒロト君の頬にそっと手を添える

「優しくしないでよ。俺は今から君たちの敵なんだよ」
「強がりだね」
「誰が.........っ!!」

私はヒロト君の唇に自分の唇を重ねた

「っ......祐奈」
「ヒロト君、泣いてるの」
「ふぇ.........泣いてなんか........あ、あれ涙が止まらな.........」
「ヒロト君、泣いていいんだよ」

私はぎゅっとヒロト君の身体を抱きしめた

「祐奈.........俺..........うぅ.......」
「よしよし。大丈夫。ヒロト君はヒロト君なんだから。『吉良ヒロト』の代わりじゃないんだから」
「っ........うわぁぁ!!」

ヒロト君は私の胸の中で溜まっていた涙を流した
私はヒロト君が落ち着くまで背中をさすったり頭を撫でたりした

暫く涙を流したヒロト君は落ち着いたのかそっと私から離れた

「ありがとう。祐奈」
「私は何もしてないよ」
「ううん。これで俺は君たちと全力で戦える」
「よかった。私も全力で戦うよ」
「じゃ、行こうか」

ヒロト君は手をそっと差し出すと私はその手をとった

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瞳子監督が戻る前に戻ってきた私は隣のベンチにいるヒロト君達をみた

そこには以前戦ったメンバーがいた。これからどんなことが起ころうと私はこの試合に全てをかける

「皆、集まって」

瞳子監督の周りにメンバーが集まる

「この試合に全てをかけて戦ってきなさい。貴方達のプレーをヒロト達に見せてあげなさい」
『はい!』
「では、メンバーを発表するわ」


ついに最終決戦
私達、雷門とヒロト君達ジェネシスとの戦いが始まる




((この試合、負けるわけにはいかない))





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