No.28 このままでいいのか(吹雪士郎/ガゼル編)




私は、どうしたらいいのだろう
祐奈とこのまま戦っていいのだろうか
祐奈を傷つけていいのか?







僕はこのままでいいのかな?祐奈ちゃんは完璧ならなくていいと言ってくれた。でも今のままじゃ.....弱いままじゃ..........










僕(私)はどうしたらいいんだ
教えて祐奈(ちゃん)--------










No.28 このままでいいのか(吹雪士郎/ガゼル編)


___________


SAID 吹雪


あの試合が終わりキャラバンで軽い豪炎寺君のおかえりなさい会が開かれた

でも、僕は素直に喜べなかった
僕は恐れていた。豪炎寺君が来て僕はこのチームに『いてはいけない』のではないかとか考えていたからだ

「練習.........しなきゃ」

僕は皆の輪から抜けだした
でも、この時知らなかったんだ。豪炎寺君も祐奈ちゃんも僕をずっと見ていたことを













「エターナルブリザード!!」

僕は何度も何度も技を強化していた。時より出てくる『アツヤ』を抑えながら。でも、できなかった

エターナルブリザードの威力はかなり落ちていたからだ
このままじゃ..............

「吹雪......」
「え...............っ!!」

僕は名前を呼ばれ後ろを振り返るとそこにいたのは紛れもない豪炎寺君だった

「どうして.........」
「心配になったからな」
「僕を..........どうして?」
「仲間を心配するのは当たり前だ」
「...............そっか」

僕は豪炎寺君の顔を見ないで俯いたまま聞いていたらぽつりと当たったのがわかった

「雨か。あそこの橋の下で雨宿りしよう」

僕と豪炎寺君は走って橋の下で雨宿りをした
止みそうにない雨。まるで僕が泣いてるみたいだった

「ねっ、豪炎寺君」
「なんだ?」
「完璧ってなんだろうね」
「完璧?」
「うん。僕は幼い頃に父さんに言われたんだ。『お前たちなら完璧になれる』って。でも、僕は完璧になれてない。皆に迷惑をかけてる」
「....................完璧になる必要はないんじゃないか?」
「え........」
「お前は完璧にならなくていいと思う。完璧にならなくても俺たちは邪魔だとも思わない。仲間がいれば完璧にならなくとも戦える」
「僕は...........っ!」
「吹雪?」

僕は耳を塞いだ。遠くから雷の音が聞こえたからだ
ここは沖縄でたまに通り雨があると以前綱海君が言っていたのを思い出した。でも、まさか雷鳴が聞こえるなんて思わなかった

「雷が苦手なのか?」
「幻滅した.......」
「いや。だから祐奈が必死にお前を探しているんだな」
「え..........」

僕は顔をあげると

「吹雪君、豪炎寺君!」

祐奈ちゃんが傘をさしながら僕たちを探していた

「俺は先に戻ってる」
「豪炎寺君........」
「祐奈と帰って来い。お前の戻る所は『キャラバン』だからな」
「!?」

豪炎寺君は祐奈ちゃんに見つからないように先にキャラバンへと戻っていった

「いた!吹雪君」
「祐奈ちゃん.......」
「あれ?豪炎寺君は」
「先にいっちゃったよ」
「もぅ、雨降ってるのに」
「探してくれたの」
「当たり前でしょ。吹雪君は私達の仲間だしそれに..................『好きな人』がいきなり居なくなったら心配になる.......////」
「祐奈ちゃん...................」
「ほら、もう帰ろう。雨も止んで来たしね」

祐奈ちゃんが歩き出すが僕はそれを許さなかった


-----がしっ

「えっ.........」
「祐奈ちゃん........」


--------ぎゅっ

「吹雪君.......」
「まだ行かないで。ここにいて」
「.........うん。わかった」

僕の腕の中にすっぽり入る祐奈ちゃん
なぜか今はまだここにいたかった
祐奈ちゃんには悪いことしてるのはわかってる。でも...........皆の所にはまだ帰りたくはなかった

僕の傷を癒してくれるのは君だけだから

「吹雪君.......好きだよ。好きだからもう1人で何処かに行かないで」
「僕もだよ。僕も好きだから。それとごめんね、いきなり居なくなって。もう、いなくならないから」
「うん........」

暫く僕たちは橋の下で互いの身体を抱きしめあった

___________


SAID ガゼル


「ノーザンインパクト!!」
「バーンアウト!!」

私の技を防ぐが

「うわぁ!!」

見事にゴールに入った
それをみたバーンが怒鳴っていたが気にしなかった

試合はダイヤモンドダストの勝利で終わった

「珍しいな。テメェが気合いいれてるなんて」
「別に............気合いなど入っていない」
「そうかな?気合い入ってる感じがしたんだけどね」
「みてたのかよグラン」

私達の試合を観戦していたグランがフィールドに入り私達の所に来た

「うん。いい試合だったねガゼルにバーン」
「けっ」
「まぁ、私が負けるはずはないからね」
「んだよ嫌味か」
「.............悪いが私は先に部屋に戻る」

私は2人と別れ自室へ戻ることにした
なぜかそこにいたくなかったから

「どうしたんだろうね。ガゼル」
「知らねぇよ。まぁ、雷門と戦うのが嫌になったんじゃねぇの」
「彼処には祐奈がいるからね」
「.....................祐奈がここにいたら俺たちは雷門と戦わずにいたと思うか?」
「それはわからないね」















---------ガチャ


---------ぼふん

「..............................」

私はわからない
なぜ、祐奈と戦わなければならない

私は祐奈を傷つけたくない
なら、私はどうしたら祐奈を傷つけないようにすればいい

「祐奈..............教えてくれ」

私は枕に顔を埋めていると携帯のメロディーが流れていた

「祐奈........」

メールではなく着信だった
祐奈が電話をしてきてくれた
でも私は...........

着信は部屋中に響き渡った
出ればいいのに私は出ることが出来なかった
それからメロディーは流れなくなった

「すまない..........祐奈」

私は起き上がりシャワールームに入り汗を流した
するとまたメロディーが流れた

「しつこい子は私は嫌いなんだがな.........」

私は苦笑しながらシャワールームを出て携帯を開くと一件のメールがあった。恐らく先ほどのだろう

「.......祐奈」




件名 祐奈

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風介、会いたい



「祐奈........」

私は部屋を飛び出した
グランやバーンにばれないように
父さんや研崎に見つからないようにエイリア学園を飛び出した

___________

「祐奈!!」
「風介.........わっ

私はまだ沖縄にいた祐奈を抱きしめた

「風介........」
「君はバカだな。なぜ敵である私に会いたいなどと」
「敵かもしれないけど風介に会いたかったんだもの」
「本当に君はバカだな。すまなかった、電話を無視して」
「ううん。会えたからいい」
「そうか」

それから私達は沖縄の市街地を歩いていた

「グラン達に見つかったらヤバイよね」
「心配するな。私は大丈夫だから」
「心配になるよ........」
「それは恋人だからか?」
「/////わ、わかってるなら聞かないでよ」
「くすっ。それはすまなかったね」
「風介、悩んでるでしょ?」
「どうしてそう思う?」
「私と戦うから」

確かに私達は戦わなければならない
父さんのためにも
でも、私にはできない

こんなに弱くなるとは思わなかった

「私は祐奈と戦いたくはない。だが、仕方ないことだ」
「風介.........」

祐奈はギュッと私の手を握った

「私も風介と戦うの嫌。でも、止めなきゃいけないの」
「うん」
「でも、風介のこと好きだから」
「私もだ。緑川やヒロト、晴矢なんかに負けない」
「っ........」
「私は祐奈のことを愛してるんだ」

誰もいない場所で私達はキスをした

これで心おきなく戦える
ありがと、祐奈









(君のおかげで私は戦えるよ)
(祐奈ちゃん。完璧がいらなくなる日が来るのはそう遠くじゃないよね)





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