「たつみ、求職者が来ました!」
「はーい、通してや」

少し間が空いてカチャ、と扉の開く音が部屋に響く。
現れたのはミラと、求職者のひかる。
これまでに何度も不正物の回収の仕事をこなしてくれた人だ。

「お!ひかるんやないですの!」
「こんにちは」
「またお仕事欲しいん?」
「お願いします」
「おん、あんさんみたいな子が何度も契約してくれて俺も嬉しいわー!ちゃんと仕事してくれる子は大好きやからね!んじゃそっち座りや」
「失礼します」
「さてと…」

巽が立ち上がってミラにちらりと視線を送る。
ミラが軽く会釈をし後ろに下がると巽はひかると対面する椅子に座る。

「今回のお仕事は今までと違うお仕事をしてもらうでー」
「違う仕事ですか」
「ま、内容は変わらんけど…ちょっとランクアップなお仕事っちゅーわけや!お給料も前より高いで!」
「ひかるさん、こちらをどうぞ!」

ひかるの前のテーブルに置かれる開かれたノートパソコン。
画面は暗く何も映っていない。
こちらを、と言われてひかるは目をやる。

「事情は軽く先に説明させていただきました!ジェイさーん!」
『はーい、こんにちは!』
「こんにちは」
『初めまして!オレはJっていいます!』
「ひかるです」
『ひかるちゃんか、よろしくね!』
「さて、二人揃ったことやし…本題に入らせてもらいますわ。今日はお二人でお仕事をしてもらいます」

ミラがひかるに一枚の資料を渡す。
JにはPCのメールで資料を転送した。

「さて、資料を見ながらお話しよか。前にタレコミがあって実際に監視屋を使うて調べさせたらクロやった会社なんやけどね」

ひかるは軽く資料に目を通す。
至って普通の、なんてことない会社の内容。
まるで会社のホームページのように会社の特徴や内容が書かれているような資料だった。

「散々不正物の提出を軽い罪で済むて忠告してたらしいんやけどそれも聞かんとこでな…ええ加減この件は済ましたいてお上様から直々に恐れ多くも猫鼬への依頼が来てん。んで、その不正物を回収してもらいたいんすわ。あ、これはひかるんのお仕事な」
「わかりました」
『オレは何したらいいの?』
「ジャックんは今回その会社をハッキングして不正物のルート及びメールの確保、それに会社の構造、カメラの情報とかを把握、そんでひかるんに情報提供…ちゅー感じでひかるんの援護も頼んます」
『じゃあ取引の証拠の確保と、サポートだね!任せて!』
「お願いします」
「あ、これはちゃんとお偉いさんから許可もろてるんで気にせんとやってな。ちなみに監視屋の子も少しは協力してくれるからそこらは上手くしてな」
「分かりました」
「あ、それと…ミラ、あれ出してや」
「はーい!」

巽がミラを見ながら笑顔で促す。
ミラは返事をして、とある入れ物を棚から出す。
それの中に入っている黒い物を取り出してひかるに渡した。

「どうぞひかるさん!」
「補聴器ですか」
「無線イヤホンです!」
「それを電源入れるとジャックんと連絡取れるようになるよう設定してあるんや」
『じゃあ直接連絡出来るんだね』
「今みたくボイスチャット形式でお話出来るで。ちなみに拾える音の範囲もそれなりに広いからジャックんにもいろいろ聞こえるはずや」
「それは便利」
「んじゃ実行する日付はジャックんにお任せするわ。終わり次第報告書書いて提出後にお給料やでぇ」
『了解でーす!』
「頑張ります」
「じゃ、仕事内容は以上や。よろしくなお二人さん」






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