天気予報は晴れのはずが見事などしゃ降り。
誰かが雨乞いでも使ったんだろうか。
ぱたぱたと屋根に当たって鳴り続く耳障りな雨の音。
今日はどこにも出掛ける気分にもなれず自室のソファに寝転がっていた。
雨音が鳴り響く部屋の中目を閉じているとそれを遮るようにピンポンとベルが鳴った。

一度鳴っただけなのと体を起こすのも面倒だ、とそのまま居留守を使うと頭上から声が聞こえた。

「なんだ、やっぱ居たのか」
「…あぁ」
「ラウは相変わらず雨の日はテンションひっくいのなー」
「お前は相変わらずだな」
「俺は雨も晴れも好きだから」

そう言ってコトン、とコンビニで買ったんであろうものが入っている袋をローテーブルの上に置く。
そいつは元パートナーだったやつで、まぁ、諸事情によりパートナーは数年前に解散した。
他には生意気だのなんだの言われてた俺に下手に出るでもなく話しかけて来たのは今でも覚えている。
パートナーを解消した今でもやたら構って来るからアポ無しでこいつが勝手に遊びに来たり飲みに行ったりもしている。

「…まだ雨は駄目なんか」
「…」
「いい加減忘れろよ。あれはお前のせいじゃない」
「…同じことばっか言いに来てんのなら来るなよ」
「そんなら同じことばっか言わせんなよ。女々しいやつめ」
「お前が勝手に言ってんだろ」
「そうですけどー。雨降るとそうやっていじけちゃうラウロくんも悪いと思いまーす」
「…」
「お前は返事に困るとすぐだんまりだよな」
「…だからなんだよ」
「別に。んじゃこれ置いてくから…俺はいいけど居留守とか使って恋人とか困らせんじゃねーぞクソ馬」

言われなくても分かってるっつーの。
言葉にせずに立ち上がるひととせに視線だけやる。
それを見たひととせがふっと笑ったのが目に入り、そのままじゃあなと俺に声を掛けて家から出て行った。

雨は、まだ止まないようだ。


−−−−−
ラウロと元パートナーの話
元パートナーはひととせというメブキジカ

prev back next
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -