バイト帰りに買い物してからまりの住んでるマンションに寄って合鍵で部屋にお邪魔する。
まりはすでに帰っていて、リビングにはおらず自室にこもっていた。
別にそこまではいつも通りだった。
問題はその後。

「まり」
「なに」
「何イライラしてんの?」
「別に」
「してんじゃん」
「してたとして何か関係あるの」
「…ねぇ、けど」
「だったら黙ってて」

さっきからずっとこの調子。
なんでこうもイライラしているのか。
なにかのストレスでも頂点に達したのか。
全く検討がつかず机に向かうまりの後ろ姿を見つめる。
何度かこうやってイライラしてるのを見たことはあるけど全部共通しているのは口調がいつもより更に攻撃的なことぐらいだ。
会話なんてする気のないぶつ切りするような返し。
答えなんて望んでない話し方。
その時に関してはいつもは見過ぎじゃないのかって目を合わせる動作もしない。

「…まりー」
「だか、らっ…。…なんのつもり」
「甘えりゃいいじゃん。恋人だろ?」
「…」

名前を呼んで振り返りもしないまりの頭辺りを抱え込む形で抱きしめた。
抱きしめるだけでストレス軽減ってなんかで見たし少しでも役に立てればいいなぁとそんな軽い気持ちで。
なんのつもりと先程と同じ調子のいつもより少し低い声に少しなだめるように頭を撫でながら理由を述べる。
いつもならだからなんなの、なんて言われるに違いないような内容だ。
それなのにお互い無言のままやっと手加減しながら抱きしめかえしてくれたまりに少し安堵した。

「…ありがとう」
「おー」
「…こうへい」
「ん?」
「ご飯食べたい」
「…ぷっ…はいはい、今から作ってやるから待ってろ」


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