Nのポケモン


「えっとジムの近くの…」
「あっ、ロットさま!ほら来ましたよ!」
「あ」
「こっちです、こっち!」
「ほう!プラズマ団に興味があるのか」
「わたしたちの話を聞いてもらえれば理解してもらえるかもしれません」
「お客人、悪いがここに入るならあなたというトレーナーがどんな人物かみせてもらいたい。そう、ポケモン勝負でな。それでよろしいか?」
「…望むところです」
「では!ゆけっハーデリア!」
「いけっジャスミン!」

−−−−−

「ほう!ポケモンと心が通じているみたいだな」
「…?通じて…?」
「申し訳ない!試すようなまねをして悪かった。元プラズマ団ということでいろいろあるのだよ…」
「あ、いえ…」
「逃げられた!」
「そちらは?」
「あ…あたしの友達です」
「ご友人?ならばご一緒に」
「は、はい…」
「……。さて、改めて名乗りましょう、わたしの名前はロット」
「……アンタらもプラズマ団だよな?さっきのプラズマ団となにが違うか教えろよ」
「正しくいうなら元プラズマ団だ。数十年前の件をきっかけに罪滅ぼしとして持ち主と離れ離れになったポケモンの世話をしている。で、おまえは?」
「……オレはヒュウ。ヒオウギシティのヒュウ。5年前にオマエらプラズマ団に妹の大事なポケモンを奪われた情けないトレーナーだよ」
「ちょ、ちょっとヒュ…」
「なにが離れ離れだッ…そうしたのはオマエらだろッ!!」
「!…そうであったか……誠に申し訳ない……」
「…」
「謝るだけかッ!!それで終わりなのかよッ!!妹のポケモンはッ!?チョロネコだよ、チョロネコはッ!?」
「おまえのいうポケモンはここにはいない……おそらくだがいまもプラズマ団にこき使われているだろう。そしておまえの言うとおり謝ってもなにも解決しない。だが罪を認め謝らねば先に進めないのだ……」
「ッ…もういいッ!!謝られても妹のポケモンはここにはいないんだろッ!!ジェシー!」
「えっ、な、なに?」
「オレはポケモンジムに行く。もっと強くなってプラズマ団を全員やっつけるッ!!…じゃあな」
「…ヒュウ…」
「…プラズマ団は彼のようなトレーナーを…改めて悔やむ……なんと愚かであったか……」
「…」
「ジェシー」
「はい…?」
「おまえは…、前のわたしの目を覚めさせてくれた男に、どこか面影がある」
「え…?」
「名前はジョシュアと言ったか。今ではこの地方では有名な名だ。知っているだろう?」
「あ、あの!それ…パパの名前です」
「!…そうか…おまえの父が…。これも運命かもしれぬな」
「…?」
「さてジェシー、ご覧の通りだ。わたしに出来るお礼などない。いや、むしろ代わりに頼みを聞いて欲しい。このポケモンの…ゾロアの面倒をみてくれぬか?」
「ゾロアを、ですか?」
「あぁ、このゾロアは旅をしていたNさまがトモダチとして頼みになされたポケモンだ」
「!…N!パパから聞いた名前…!」
「そうか、あいつはまだNさまのことを…。いや、憶測で物を言うのは止めておくか」
「…ロットさん」

−−−−−

ジョシュアの話は数年経った今でも有名な話だ。
もちろんジェシーが幼稚園ぐらいの幼い頃にNなんて人の噂も友達のお母さんが話してる時に聞いた。ジェシーも幼稚園に入った頃だと好奇心も旺盛になるわけで。

「ぱぱぁ」
「ん?なんだいジェシー?今はお昼寝の時間だろ?」
「おきちゃったの…」
「夕方眠くなっちゃうよ?」
「だいじょーぶ!…ねぇ、えぬってだれ?」
「…、N、かぁ。パパのお友達だよ」
「でもあたし、えぬってひとしらない。ベルさんと、チェレンさんと、ロジーさんと、リサさんと、ナナシさんと…」
「…Nはまだ旅に出てるからね」
「たび?」
「うん。今もきっと、Nはポケモンと幸せに旅しているよ」

そう言ったジョシュアの顔が少し心配そうな笑顔だったのをジェシーは今でも覚えてる。
ジェシーが後に聞いた話になるが、その際にプラズマ団の王と名乗るNはレシラムと共に何処かへ行ってしまったらしい。
それからは姿を誰も見てないのだと。

−−−−−

「…(このゾロアは、パパに渡したほうのがいいんじゃないかな)」

そう思いながらジェシーはゾロアのボールを握りしめる。
ロットから預かった、いや、譲り受けたという形に近かった。

「N…さん」

ボソッとゾロアの親の名前を呟く。今頃はどこに、いやもう地方すらここではない所にいるんだろうか。
そうぼんやり考えながらジェシーはライブキャスターのスイッチを押した。




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