転校生がやってきた!!


春、大事な人と別れ、新しい人との出会う季節。そんな春がまだ始まりはじめたばかりの今日頃ごろ。









「昨日の"VS辛子"みたー?」

「見た見た!!竹じゅん超かっこよかった!」

「えー、やっぱミノのがよかったって!」

「……いや、やっぱ小ちゃんでしょ。」


「あ、先輩おはようッス!」

「おーおはよう、朝から元気だなー」

「武田ー、今日のメニュー変更ありって知ってる?」

「はっ? 聞いてねーって」



ぎゃあぎゃあ色んな会話の響く廊下を全て素通りしていく私達。しばらく歩くと空き教室が続く廊下に来て、それからまた歩くと、今度は遠くの方から叫び声と悲鳴、そして何かが壊れる…否破壊される音が聞こえてきた。




「大丈夫。根はいい奴らだからさ。」




そういったそいつに、まだ何も言ってませんがっと言うと顔が強張っていると言われた。


だってどう考えても普通じゃないじゃん、この音。















いよいよ目的地にたどり着くと、さっきの音がよりリアルに聞こえ流石に余裕がなくなる。待て待て、ここは動物園かこの野郎。

じゃあちょっと待っててねーなんて呑気に言いながら中に入っていくそいつ…つまりこのクラスの担任、銀八に『ちょ、独りにしないでー!!』と目で訴えたがガン無視された。






銀八が教室に入った瞬間、破壊音や悲鳴は無くなった。それでも叫び声と話し声は無くならない。しかも"実はこのクラスに転校生が来まーす"っという声が響いた刹那


「ひゃっふぅううう!!」

「キッタ―――!!!」

「先生ー女の子ー?」

「可愛い?美少女?」

「モデルかなー?!」


等のさっきの5倍ぐらいの叫び声が響く。ごめんなさい、女だけど美少女でも無ければモデルでもありません。だから皆さんそんな期待しないで下さいい。一生のお願いですうう、三百円あげるからァァァァアア。

っと独りブツブツ呟いていると教室の扉が少し開いて、銀八が私に中に入るよう促す。





覚悟を決め、一回大きく深呼吸した後



―バンッ



っと扉を開け、教卓に立つ。静まりかえる教室。やばい力入れすぎたァァアア。はい、不細工でごめんなさい、期待に応えられなくてごめんなさいいいいいい。なんて考えながら独り固まっていると



「「「「きっ…キタ――――(゚∀゚)――――!!」」」」





っと響く教室。何これ、ドラコレ。…じゃない。なんだこれ、何この一時代古い顔文字。まあでもとりあえず喜んでいいってことだよね、そうだよね。

カツカツとチョークで黒板に文字を書く音が響き、騒ぎ声が静まる。そのかわり皆の食い入るような視線が痛いくらい伝わって来る。




ワクワク、ドキドキ。そんな効果音が聞こえるように感じるのは私だけ?それとも皆一緒?




「苗字、挨拶し「そこの小娘ぇええぇえ!!名前、なんてよむアルかー?!



担任の銀八を遮って大声で叫んできた少女。今から言うよ、なんて思いながらも、何故かすごく魅力的な質問に、私の中の何かが切れた……ような気がする。

気付いたら、私も声を張り上げ叫んでた。





苗字 名前です!!よろしくお願いします!!!




転校生がやってきた!





(クックッ中々面白そうな奴が来たじゃねーか)

(久々の上玉じゃねーかィ)

(おーい、そこの沖田高杉コンビ。あからさまにニヤニヤすんな、気持ち悪ィ)



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竹じゅん、小ちゃん、ミノ、対葉、桜屋くん。5人合わせて、辛子でーす。…なんちって。










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