ただ誰かをもとめて


ただ走る。走って走って。












『って、ぁ、チェストォォォオ?!!』


教室の前でずっこける。うわ、だっさ。私ダサッ!!



「なんだーって名前?」

『いててて〜…、あっ土方。』



ふて開いた教室のドア。見上げるとそこには土方の顔。



「お前…総悟をお探し…か?」



しかもすごい…



『何故それを…』



嬉しそうな



「さーな」



S顔。



『まあいい。総悟どこ「行かせねーよ」

『はい?』

「行かせて…たまるか。」



そういった彼は私の手を掴み



「離さねー…」



私の首に自身の腕を巻き付けてきた。



『まぢでか。』









































「え、何。ノーコメントですか。」

『いや、だって土方がそんな事言うなんてさ…


誰かにフラれたのかなって思って。』


「……」

『……』

「……」

『…え、何図星「違うわ。」

『あ、よかった。』



ほっと胸を撫で下ろすと彼は"はぁー"っと溜息を吐いた。




しばらくすると土方は「屋上」っと言った。



『は?何が?』

「いや、何がって…総悟が。」

『あ、成るほど成るほど。』

「ほんと…疲れるわ、お前」



そういい土方はわざと大きく溜息をはいた。



すると



「…?!」



綺麗な細い指が土方の口を塞ぐ。



『溜息ついたら幸せ逃げるぞ!!』

「……うるせェ」

『うるさくて悪かったね!…もう。

って、こんな事してる場合じゃない!!じゃ土方、また大学で!!』



そういい名前は土方の口から手を離し屋上へと急いだ。



「くそ名前が…」



ふと土方は小さく呟いた。…つもりだった。しかし



『うるせェェエエくそ土方ァァァァアア!!!』



地獄耳の彼女には聞こえていた。ひょこっと階段のところから顔を出しこちらに叫ぶ少女。そしてにやりと笑う。








3年間色々相談乗ってくれたり優しくしてくれてありがと!!総悟の前じゃなかなか言えないけどさ私…土方の事






―大好きだからね!!



そう叫び階段を上る名前。


「…俺も……好きだよ、馬鹿。」


一人呟いた言葉が再び彼女には届くことはなかった。




ただ誰かを求めて


みんな手を伸ばす。














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