ありがとう


『銀八ィィィィイイ!!!』



あたしは銀八のいる職員室の入口で叫ぶ。月詠先生がびっくりしてタバコの箱を、服部先生がジャンプを落としていたのは見なかった事にしよう。

職員室のドアの前ど大声で先生の名を呼ぶあたしを見た銀八は一瞬驚いた顔をしたけど必死に笑いを堪えながらあくまでポーカーフェイスを気取ってこちらに歩み寄ってきた。



「誰だよ、うるせェな…って名前か…」

『名前か…って何よ!!!そんなにあたしが嫌だっ「嫌だな、うん。どーせ、焼肉奢れって話だろ?」

『…』



あたしは銀八に考えを見透かされて完全に黙りこくった。…銀八という奴はいつもそうだ。あたしの考えをお見通し。



「まァ…でも、それだけじゃなさそうだな」

『…?!』



ほらね、やっぱり。三年も担任持ってもらったらなんでもばれちゃうな。



只今職員室。あたしは銀八の隣(月詠先生の席)でお話し中。…あ、こんな事出来るの今日で最後なんだ…。



『―という訳なんだけど。』

「へェ」

『"へェ"って何さ?!可愛い可愛い教え子が困っているのにあなたは「だってさ、俺に何ができるのって話」

『あっ』

「…でしょ?」



そういい小さな笑みを浮かべ首を傾げる銀八。

…確かにそうだった。今銀八に話したってもう3Zで話し合ったり、もう一度文化祭、体育祭したり出来ない。



『あたし、どうしたらいいかな』

「どうもこうもねーよ…ちゃんと気持ちを伝えてこい。」

『…え?』

「今ならきっといると思うよ、総一郎くん。」



そういい自分の名札をを持ち、あたしに向かってピラピラ揺らす。


坂田 銀八

3年Z組



『!?』

「早く行かないと、行っちゃうよ」



あたしは椅子から飛び跳ねるように立つと



『月詠っち、席貸してくれてサンキュー!!』



と叫ぶ。そして…



『銀八!』



天然パーマの担任に最後の挨拶をする。



『今までありがとう!!あたし、銀八の天パ好きだったよ!!…あ、後総一郎じゃなくて総悟だからね!!』



私はじゃあね、っと銀八に向かい手を振ると職員室を飛び出した。












「「青春だねー/じゃのォ」」



銀八と月詠が同時にそんな事を言ったのは服部先生と理事長しか知らない。







覚悟を決めていま、走り出す













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