カミングアウトの5秒前


『もしもし、総悟?』

<<「あぁ、もしもし。お前出るの遅すぎまさァ。後3コールたってたら俺ァあんたの電話、切ってやした。」>>

『ちょ…嘘に聞こえないんだけど。』

<<「誰が嘘っていいやしたかィ?」>>

『おぉ、怖い』



そう言ってくすくすと笑う私達。





<<「なあ、名前。」>>



急に彼の声のトーンが下がる。



『ん?』

<<「俺、ずっと好きな奴がいたんでさァ」>>

『ぇ…うん。』


一言一言漏らさず聞く。好きな君の話だから。



<<「だけどそいつァいつも俺のことなんか気にせずアイツと仲良くペチャクチャペチャクチャ」>>


アイツとはきっと土方の事だろう。ていうか、誰。総悟の好きなひとって。



<<「苛々しやした。今すぐ引きはがして俺のものにしたかった。」>>






















気のせいかしらないが総悟の声が少しずつ大きくなっている気がした。








しばらくの間、総悟は私に自分の好きなひとについて語った。

一瞬神楽ちゃん?って思い胸が苦しくなった。



でも、

<<「…なァ、名前」>>

『…ん?』

<<「聞いやす?」>>

『…………うん。』



君が呼ぶ



"名前"



私の名前はいつもよりそして誰より特別に聞こえて…



<<「俺ァ、引っ越ししちまうからそいつに…気持ちを伝えたい。」>>



早まる鼓動。



<<「聞いてくれやす?」>>



ねぇ、総悟。



『うん』



私…



<<「…もし、俺が」>>



自惚れてもいいんだよね…?

















―カチャッ








<<「お前が好きだって言ったら…笑う?」>>

「お前が好きだって言ったら…笑う?」




リンクするは電話の声と扉が開く音。そして



真っ赤な顔の君。








「名前、好きだ。」

『あっあたしも』



カウントダウンが始まった。


















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