(らぷそでぃー)
「雑渡さんにも苦手なものってありますか」
「なんでそんなこと聞くのかな」
「雑渡さんって弱点無さそうだから、なんか気になって」
「私にだってね…いや、ない」
「なんか思いついたって顔しましたね」
「いやいやいや。ないない」
「嘘ですね。僕の目はごまかせません」
「ないよ」
「言うまで聞き続けます」
「そんなに近くで見つめないでくれ」
「じゃあ苦手なもの言って下さいよ」
「…私は伊作君が苦手だ」
「え?なんて?」
「私は伊作君が苦手だよ」
「僕?ですか」
「うん」
「なんでですか…ショックです」
「そこまで言わせる気か。それは言わんぞ。絶対」
「僕のことが嫌いってことでは」
「そんなんじゃないよ」
「ちゃんと説明して下さい」
「嫌だ」
「泣きますけどいいですか」
尚も食い下がる伊作君をなだめながら思う。伊作君が苦手なのは本当だ。私はこんな人間ではない。伊作君には私のペースを崩されまくりなんだけど、そんな人は世界中でも一人しかいないと思うんだ。