(疲労感)

好きだ、と素直に向かってはいけない。僕はそんな人間じゃないし、そんな勇気もなかったから。だから僕は少し遠回りをした。伝七にとっては、迷惑かもしれない。でもそれは伝七と僕とのつながりだから。



でも僕だってくじけそうになることはある。別に今までより酷く拒絶された訳でもないし、普段どうりだったのに、ふと疲れてしまった。それでも伝七を好きだって気持ちはくじけてくれないから、僕はしんどかった。いつの間にかどんどん伝七のことを好きになってしまっているらしい。このままだと、僕は駄目になってしまいそうだ。もう伝七と関わるのは止めよう。自分に嘘をついても。






「どうしたんだよ」

目の前に立った伝七から出た言葉に僕はうんざりした。その一言は僕の決心をどれくらい揺らがせているのか、伝七は知らない。僕だけにかけられるその言葉は、僕を一番縛るものだった。伝七が好きだから、たった一言、その一言が、嬉しい。
「何が?」その後に続く言葉はいつもと変わらない。伝七の態度も心も変わらない。






迷惑がられて、邪険に扱われて、大事にされない。女の子だったら、一度泣きじゃくって気持ちを伝えればいい。そうしたら、かわいいし。僕は男だから。それはできない。プライドというものがあるし、なんだか僕が泣くなんて気持ち悪い。伝七だってそう思うだろうから。
そんなことを考えて疲れても、結局はまた同じことを繰り返すんだ。このまま心が疲れきってしまったらどうなるんだろう。もう伝七のことを好きではなくなれるか。いや、僕のこの気持ちは増すばかりじゃないだろうか。そうなっても、僕にはどうしようもないんだけど。




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