(本当は、劣等)


また学園長の思いつきとやらで全生徒が集められている。僕はきれいに並んだい組の列に並び、近くの騒がしいは組の声を聞きながらもの思いに耽る。


は組の連中はいつも楽しそうだ。仲がよくて。いつからあの輪に入りたいと考えるようになったのだろうか。は組の作法委員、兵太夫が楽しそうには組の話をするものだから気になっているだけだ。この前の作法委員会でもそうだった。あれは一緒にの片付けをしていた時の…

「今日はまた実習に言ってきたんだ」

まただ、と。僕には兵太夫にとっての日常の話も自慢にしか聞こえなくなっていた。

「それが?」

素っ気なく返事をしてしまう。僕はそこで先生に向けるような愛想笑いを出来るほど大人ではなかった。

「…伝七って愛想ないよね。まあい組って人付き合い意外と下手そうだし」

また言い合いになりそうだ。こいつはちょっと性格が屈折していて扱いにくいし、僕は意地っ張りだから。結局僕と兵太夫は喧嘩になってしまった。喧嘩したい訳じゃない。何故か胸の奥ががキリリと痛む。最近はずっとそうだ。兵太夫からは組の話を聞くたびに胸が締め付けられるような感覚を味わう。前はこんなことなかったのに。我ながら良くないとは思うが、は組のことを見下していた所があったし。僕はどうしてしまったのだろう…。


目の端には元気よく出席を取っているは組が。兵太夫の声が聞こえる。またあの感覚だ。苦しい。僕にはわかっている。これ以上兵太夫には近づけないことが。は組にはは組の雰囲気があってもう周りが途中から入っていけるような場所ではない。それがわかってしまうから苦しい。

僕は目を瞑る。耳を塞ぐ勇気はなかった。兵太夫の声がまた聞こえた。



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